甫木元空監督の舞台挨拶付き。
薄皮通したような高揚感のない現実描写とあの世とこの世の境目がない感じが自分には心地よかった。
2014年の3月に浜松から川崎に引越してきて、閉館プログラム開催していたバウスシアターへ行くことができた。当時体調が良くなかったのだが吉祥寺の遠さが体感ではよく分かっていなかったから通えたのだと思う。その後私は秋から癌闘病が始まって、まだフォローアップ検査は卒業できてない。
同世代の青山真治監督が亡くなる直前まで準備していた企画があると仙頭武則さんが追悼特集の時に話してみえた本作を、甫木元空監督が引き継いで完成させてくれて、いま自分は見ることができるのが感慨ひとしおで胸が熱くなった。
ムーンライダーズを40年以上聴いているから本田拓夫さんを鈴木慶一さんが演じているのも嬉しかった。
青山作品の常連俳優組が優しげに演じていた。(浅野忠信いなかったけど)
小道具はなるべく当時の物を使ったり再現した。
青山監督と話をした事で活かしたのは「無名の人たちを撮って、こんな人たちがいてねと家族に語りかけるような映画にしたい」と言われていたことだと甫木元監督が話していた。
映画を見て泣くことは殆どないけど、本作は感情が揺さぶれるのではなく、胸にジンと染み込む感じでラストは涙が溢れていた。
斉藤陽一郎さんが演じたboidの樋口泰人さん、そのお二人が並んで笑っている篠崎誠監督が撮影された写真を思い出す(一番新しいのは去年の秋、アテネフランセで撮影されたもの) 樋口さんどうかお元気になってください。
パンフに載っている青山監督の「Baus!」準備稿2のまま撮影されていたら自分はそれも見てみたかったけど、もっと“分かりにくい派”の人が増えていたんじゃないのかとは思う。
青山監督は寝たってイイんだよ、また見ればイイ。と言うと思う。