父の死後、父が遺したビデオテープから今まで知らなかったゲイの社会活動家として生きていた父の過去を知っていくドキュメンタリー映画。
父が記録していた100時間以上に渡るビデオテープと当時の父と関わっていた人々のインタビュー映像を組み合わせることによって、父の人生を再構築させると同時に同性愛が禁じられていた時代のアルゼンチンでLGBTの活動家として生きていた人々の記録を作り上げているのが面白い。ミニマムなホームビデオは父の過去を探っていくうちに当時のLGBTムーブメントに接続し、しかしながらも監督である彼の娘が自分自身の生い立ちを振り返って知っていくような極私的なドキュメンタリーになっているのも見事。ゲイから父親になることの苦悩が二重性のかたちで浮き彫りにされてかなり苦しい内容となっている一方で、映像を撮って遺すことを父から受け継いだようなラストはとても良い。面白かった!