にく

アビゲイルのにくのレビュー・感想・評価

アビゲイル(2024年製作の映画)
4.8
T・ジレット他『アビゲイル』(24)。古い屋敷が舞台の◯◯◯ものなので『フロム・ダスク〜』や『シェアハウス〜』っぽいし『フライトナイト』感もある。ヒロインも『インタビュー〜』のK・ダンストや「トワイライト」の姉ファニング(+ミーガン)を思わせる。要はかのジャンルの集大成。文句なく面白い。
 「父」によって屋敷に閉じ込められる「女」の恨みを描いている所は『ジェーン・ドウ〜』に似ていて、「女」は「父」の人形に過ぎないという意味では『バービー』に近づく。共通するのは『人形の家』(イプセン)のプロットでありヴィクトリア朝期の女性作家による「幽霊屋敷」もののフォーマットである。
 他にも色々ありますね。まあ、ですから、「いいとこ取り」の見て損はない映画です。
 マルクス以来、◯◯◯(もはや伏字にする意味がないけど)は資本主義者の謂で、そのイメージが今、臆面もなく大々的に再利用される(しかも古臭い父権表象を伴って)のは、やはりE・マスクに象徴される白人億万長者が貧困層を搾取することで成り立っているのがこの社会だという実感あっての事でしょうね。
 少女◯◯◯は、それを内部から崩壊させるかもしれない、ある種の希望なのであり、ヒロインとの共闘も、ひとえにそこから生じる訳です。
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