このレビューはネタバレを含みます
原作完読、ドラマアニメ未視聴。
推し(二宮和也)が推し(カミキヒカル)を演ったと聞いて駆けつけました。
前半は映画のメインに当たる部分までの復習と病院パート。原作やアニメ、ドラマ未鑑賞で来る人間への配慮だったんだと思うけど、病院シーンが思いの他しっかりと描かれていて少し冗長というか、もったり初速が乗らない印象になってた。
後半、新規ストーリーの部分は原作から実写映画へ向けての改変で十二分に許容できる範囲、というか上手く弄ったなと納得出来るクオリティだった。
上手いことぐるんと一通りの流れが見える構成だったから正直映画で満足したら原作もドラマアニメも見なくていいくらい。
原作カミキヒカルは"価値を見出した存在が滅ぶ様"に生を感じるだけの人格破綻者に見えたけど、実写カミキヒカルは根底に「愛されたかった」っていう大きくて変えられない人間らしさが見えて厚みを感じた。
でも本人はそれを上手く自覚できてないから"ああ"なるし、広告にもなってるカメラ前での独白のシーンでも涙は滲むけど決してこぼれない。
自分のことを本気で空っぽで価値のないものだと思っているような乾いた声で、甘い声音なのに愛も情も滲まない。
カミキの過去とか周囲とのやり取り諸々がガッツリ削られてる事で想像の余地が生まれていてより"主人公の敵"としての不気味さや強さ、恐怖がでてて正直なところ原作より好きかもしれない。
原作カミキヒカルは最後にアイたちの感情に触れてしまったり焦りを見せたことなどで薄さが出たけど、実写映画カミキニノミヤは最後の最後まで何も理解していなかったしほぼ無抵抗で沈んでいく。
最高だった。