旅芸人の記録のakubiのレビュー・感想・評価

冷たく乾いた音のする過去が記憶の中をゆっくりとたゆたう。
血のにおいのする大地に降りたって、永遠の居場所を探しながら、宿り木をあちらこちらへと。時代の流れを詩にこめてうたいながら。
砂浜についたいくつものあしあとは、愛と憎しみでくたくたのこころみたいだけれど、すべてを流してくれる都合のよい波などなかった。
わたしたちはまだこの海原の渦からぬけだせていない。悪夢からさめても夢の中のほうが、まだましだったみたいに。