パグちゃんかわわ

ザ・ウォッチャーズのパグちゃんかわわのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ウォッチャーズ(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ザ・ウォッチャーズ、観てきました❗️ホラー界隈でもクセの強いシャラマン監督の娘さんの初監督作品ということで、ちゃんと謎解きはあるのかな…と気になっていたのですがきちんと「なぜこの場所なのか」「ウォッチャーズとは何者なのか」「目的は何か」「(映画として)物語に終わりはあるのか」が描かれていたので安心しました(笑)
主人公が迷い込んだ森はアイルランドの森で、このお話はアイルランドの妖精伝説のチェンジングが元になっているので、そこだけ押さえておけば物語の大筋は分かります❗️それでも所々主人公の行動に謎を感じるところもあるのですが、そこはおそらく主人公が抱える、過去の出来事との心理的な対峙が関わっていると思うので若干の違和感を飲み込めば、彼女のこともウォッチャーズと呼ばれるなにかのことも理解できると思いました。

ホラーというよりダークファンタジーであるし怪物と闘うことよりも主人公ミナが自分の中にある後悔と自己否定に向き合う事こそが重要となっていてむしろミナと「かの妖精」は、鏡合わせの存在として描かれているので怖さよりもお互いに少し哀れさを感じました。
子供の頃の無邪気な行いが母の悲劇の引き金となってしまったことで自分を許せず、名を変え時折別人になりすますことで無意識に自分の存在を無かったことにしたがっている主人公ミナが
現代にも妖精伝説が残るアイルランドの森に足を踏み入れることで、森の封印に囚われてしまい謎の存在ウォッチャーズによってペットショップに飾られる動物たちのように毎晩森に建てられた建造物の中で鏡越しに見せ物になる…というのが基本設定なのですが、私はあまりその部分は重要に思わずにむしろかの妖精の正体が暴かれると同時に、とある女性の行動に伴っていた矛盾がスルッと理解できたのでそちらを巻き戻すのに意識を取られました(笑)
何故女性が「研究の全容を知っていたはず」なのにミナが来る以前に迷い込んだ人々にそれを教えなかったのか・知っていたのに女性はなぜ脱出できなかった(しなかった)のか、女性の正体が確定することによりちゃんと矛盾が訂正されるので安心設計で良かったです。シャラマン父監督だったらたぶん謎フワフワのままエンドロールだったと思うの。
ミナたちは外側からウォッチャーズたちに観察されるのと同時に、内側からもじっくりと時間をかけて試されていたというのが個人的に1番ゾクっときました❗️

ウォッチャーズたちの観察も、単なる見せ物ではなくて妖精たちがチェンジングするためにヒトを夜な夜な詳細に研究していたというのも良きです。しかしながらウォッチャーズと闘うことよりももっと心の奥深くの、人間が抱える愛や失望、喪失とどうやって共存して苦しみながらも前に進むかがお話の最大のテーマだと思うので
ホラー映画だと思って観ると中盤から振り落とされそうだと思いました。あとアイルランドの妖精伝説は知っておかないと「いきなり妖精ってナニ?封印?」でファンタジー濃ゆすぎて置いていかれるかもなので、大衆ウケはしないかもです。でもゲームの某FGOをプレイした事がある人ならハイハイなるほどねーと受け入れられると思いました❗️つらい記憶もちょっぴり蘇る…。
作中の森が実際にアイルランドの森かは謎ですが、北欧の神秘とか好きな人には刺さると思いました❗️夏至に公開するのもたまたまかもしれないけれど大変渋い。好き❗️

モンスター大暴れではなかったけれど作品の言いたいことはちゃんと存在していたので、得るものがある作品でした❗️主人公とかの女性は鏡合わせの存在であり、どちらも愛を失って深く傷ついている。主人公は過ちを犯した自分を消してしまいたいと感じながら生きていて、あの彼女は仲間たちに混じれずに明るい森の中でたった1人出会った人間を信じたのに裏切られ、ヒトのように愛情と憎しみを知ってしまった。終盤の主人公たちの対決でお互いに争うことを止めたのも、どちらかを悪として消滅させて成立するのではなくて、それぞれが自分の痛みと向き合って互いの存在を許し、自分の中の罪の意識も受け入れながら生きていこうと背中合わせに進み始めたエンドだったと私は思いました。チェンジング、何かを消して成り変わるのではなくてそれぞれが自分として歩み生きていく、主人公ミナが罪悪感で長年会う事が出来なかった「もう1人の自分・双子の妹」とやっと向かい合えたことこそが、本作の大きなテーマだったと思います。もうミナは妹の前から消えなくていいんだ。
ホラーじゃなくてダークファンタジーだったけれどラストは良い意味でしんみり出来ました、田舎でも公開ありがとうございました❗️最近田舎はホラーの上映がとても減ったので、どんな作品でもありがたい限りです。全部感謝して拝んでます。
初監督作品として見るとまとまってると私は思いました、父ちゃんが破天荒すぎる投げっぱなし展開が多いので比べないほうが良いかも…。でも所々、理屈より感覚優先の表現があるので何となく遺伝子を感じる。
ありがとうございました❗️ネタバレ注意設定ではあるけれど、あまりにもどストレートなことはさすがに伏せるとこちらは感想とても書きにくいですね(笑)

前記したかの女性が「研究の全容を知っていたはず」なのにミナが来る以前に森に迷い込んだ人々にそれを教えなかったのか・の部分の謎は、迷い込んだ人々をわざわざ長期間かけて導き観察したのはおそらく主人公ミナのように、強いストレスを受け続けても狂わないでいられる人材を探していたのではないか(混乱してパニックを起こし研究を破壊されたら森を脱出する手段まで失われる危険がある)、そしてなぜ今まで脱出できなかったのかはヒトの姿形を模倣できても文字を読む事までは学習していなかったからかなと考えれば、矛盾も理解できなくはないのでどうにか云々。
ミナたちが森のルールを破ったことにウォッチャーズが怒り建造物を破壊した理由は、観察だけではなく自分たちが古代の人間によって地下に封じられたことへの報復もこめて、ミナたちを鳥かごのように閉じ込めていたのかなと…妖精に聞いてみないとわからんべい🧚
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