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Zのbennoのレビュー・感想・評価

Z(1969年製作の映画)
3.9
1963年に王政下のギリシャで起きた自由主義者グレゴリス・ランブラキス暗殺事件を基にしたヴァシリス・ヴァシリコスによる同名小説を映画化…。

コスタ=ガヴラス監督の『政治3部作』の1作目…社会派は苦手ですがとても貴重な作品…出会えてラッキーです…。


舞台は地中海に面した架空の国…しかしギリシャであることは明白…左派の政治家Z氏(イヴ・モンタン)は自由を求めた集会を開催…デモ隊に向かって歩くシーンでは群衆が道を作り、まるでモーゼのよう…

しかしその後、暴漢のひとりに襲われ、殺害されてしまいます…病院に搬送された時の妻(イレーネ・パパス)の狼狽え様は台詞も少なく見事な映像演出です。

警察や軍は事故死と決めつけますが…新聞記者(ジャック・ペラン)は真相を暴こうと記者魂を見せます…彼がカメラを構え隠し撮りする演出も見どころ…そして予審判事(ジャン=ルイ・トランティニャン)に協力し国家権力に屈することなく真実を追求します…。

政府の要人たちを徹底的な悪とし、Z氏、予審判事をスマートなヒーロー然とするところは娯楽性も感じてとても観やすくなってます…トランティニャンが兎に角カッコいい…。

また、政治的な主張を声高に言うわけではなく、あくまでも判事として…新聞記者として…の行動を徹底的に映します…。

そして重いテーマにも関わらず、音楽が軽快なのも、その重さを緩和…Mikis Theodorakis (ミキス・テオドラキス)のテーマ曲も耳に残ります♬ ̆̈ ̆̈



  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜










正義感の強い予審判事は次々と政府の要人を起訴に追い込むので爽快感を感じつつも、しかし大団円とはならず…最後の最後で絶望に突き落とされます…。

軍の圧力や陰謀によって個人の自由が潰されてしまう恐怖…軍や政府を相手にしたら一個人など何も出来ないのです…。

ラストの底意地の悪さも…リアリズムです…。


✎︎ YouTube(仏語音声、英語字幕)ですෆ*
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