英国National Theatre がYouTubeで無料公開中ということで視聴。
日本でもナショナルシアターライブで劇場公開された作品だけど、地方住みだと都市部の上映にはなかなか行けないから観られて嬉しい!
マイケル・シーンが主演ということでぜひ観たかった作品なので尚更嬉しい。
英国で国民保健サービスNHSを立ち上げた政治家ナイ・べヴァンの生涯を描くストーリー。
私がNHSの存在を知ったのはコロナ禍で…なんだけど、この制度が出来る前は地域や貧富の差で受けられる医療に格差があったということで、とても考えさせられた。
医師不足の問題や医療費の問題は日本でも他人事ではないわけで。(地方住みの自分は特に。)
「国民の健康を、国が、政治が守る」という当たり前と思われることが実際には当たり前ではないということがよく分かる作品で、観られて本当に良かった。
今作、ナショナルシアターライブの100作品めに当たるんだね。
演技も演出も極上で、節目の作品として本当にぴったり。
主人公ナイの病状が悪化し入院するところから物語が始まるので、基本的に病院のセットがベース。
そこから流れるように場面転換し、意識不明のナイの走馬灯なのかな? な演出でナイの生涯が描かれる。ある意味ファンタジー。
病院のセットを他の場面でも応用するの、演劇をやっている自分からするとあるあるなんだけど、今作では「そんな使い方までしちゃうんだ?」のオンパレードでとっても面白くて勉強になった。
舞台の奥行きをこれでもかと生かしつつ、いざという時はカーテンで仕切って閉鎖的な個室を作る演出も良かったな。
心拍数を表す光をそう使うのか!とか、演劇をやっている人はぜひ観てくれ!な演出のオンパレード。
マイケル・シーンの演技もさすがの一言。
ナイ・べヴァンはウェールズ出身、シーンさんもウェールズ出身俳優ということで、きっと思い入れがあったんだろうなあ。
衣装もメイクも一切変えずに同一人物を演じているのに、演技や表情で「これは子どもの頃」「青年期だろうな」と一瞬で分かるのが本当にすごい。
前半に出てくる子ども時代の図書館の場面は、「誰でも無料で本が読める感動」「それなのに医療は平等ではない」ということを描くための伏線だったんだろうな。
社会派作品ながら、途中でミュージカル演出もあってとっても楽しかった!
今回はYouTubeで字幕を出して観たんだけど、願わくばちゃんと日本のナショナルシアターライブ公式がつけた字幕で観てみたいな。
ナショナルシアターライブ、私のように地方在住で観たがっている人はたくさんいると思うので、どうか地方でももっと上映してほしい。