nagipei

凶気の桜のnagipeiのネタバレレビュー・内容・結末

凶気の桜(2002年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

これは実はイデオロギーかぶれに対するディスり映画なのか?
軟派は紛れもないワビサビの効いた日本語ですしわざと?
右翼がファンクか?とかちょいちょいディス入るし

どうやら原作にある物語の核の部分がごっそり描写されてないそう
街宣右翼に在日韓国人がいるのは実際あるそう
その辺のくだりをもっと入れて欲しかったし、多分そこがこの映画を単なる一方的なイデオロギー賛美じゃないとする一番のキモなのに単館上映じゃないから自由に出来なかったりしたんだろうか…
ストーリー追うにはかなり映画のみ勢には不親切で、こだわり映像やファッションを見せたい感が強い
そう、ずっとナショナリストというファッションを見せられてる感覚だったんだよ

これでもかと桜だし 決闘シーンはあざといくらい桜散らしてくるし 太鼓もベタ ヒロインのシーンだけ少女漫画で浮いてるし 原作ではキーになるらしいけど映画見ただけだとヒロインはなくてよかった気がする

あと江口さん好きだけど、この配役はちょっと失敗ではないのか…あんなに殺し屋という特殊性、何か限りなく黒いもの、それこそ凶気を内包してるはずの危うさ怖さ不気味さが全然伝わってこないって…確かに衣装は黒かったけど…
ただのイケてる兄貴的な爽やかさ消せてなさすぎ…

ラストもベタ過ぎてこういうの日本のバイオレンスものでよく見るなーとなった
ここでも桜は綺麗だけど

これ映画は、当時何かしら穏やかでない愛国だの右翼だのの広告見てた時から完全に食わず嫌いで見ようとしなかった映画だけど(ネオトージョーとか)、思ってたよりは全然単純な右傾する若者賛美な映画ではなくむしろ多分原作の言いたい所は別、逆なのかなと思ったり
キングギドラに、右翼的思考があると認識は当時からなかったけどあのなんとも言えない物々しさというか雰囲気って、言葉選びもだけど言われてみれば確かにと今更思ったり
今K-DUBさんは多少なりラップやこの映画で、若者が右傾化する空気を醸成して煽ってしまったことを反省している(意訳)というようなインタビューをこの度見た
なるほど、たしかにわかる気もするような…
日本にいると、イデオロギーとか普段話題にもならず考えないような空気があるけど、地味に抑圧されながらもフツフツと磨かれる部分はあるよなと、右左どっちにしろ。

結局この映画でイデオロギーだののメッセージは伝わっては来なくて、ヤクザもの見たなーってなってるけど、00年代前半日本の、今とはまた違う閉塞感、渋谷の雑多さ、若者のエネルギーが内に向かい報われない感じとか、なかなか思い出し考えて面白かった
今ではDQNとか言われて完全に見下しディスられる空気ですよね、、チーマーとかあのヤンキー感は、、若者のグレ方は昨今はもっと狡猾に分かりづらくなってそうだけど、こうして若者が組織に呑み込まれてくのは古今東西普遍的だよなと
そして磨かれて削られて骨抜きにされて好き嫌いがはっきりしていくのが大人なのか、たしかに。
と思ったり思わなかったり

多分監督の力不足なのか大人の事情なのか知らんけど思ったようにメッセージを上手く入れられなかったのでは、と憶測だけど、でもやっぱりこういうタブーに切り込んだ系映画を作ろうとする意気込みは、今の邦画界にも欲しいとは思った

私は原田芳雄さんが一番ツボだった、かっこよかった