SakakiHana

パレードのSakakiHanaのレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
-
キャスト登壇付き試写会にご招待いただき鑑賞しました。

生きている人間にとっては、死後のことはどんなに思考を尽くしても一生分かり得ないことでありながらも、この世にあらゆる生死に纏わる諸説があるのは、やはり人間独自の祈りの精神に付随したものに感じます。

命の灯火が尽きる時というのは、予期できるものもあれば 唐突なものもあり、ただ 手に取れるものは残された側の思いだけであることは当然である一方で、命なき者の思いを想像した作品の存在は、実に人間らしいと感じます。

現実の世界に忠実に描写した作品の魅力も去ることながら、こういった「こうであればいいのに」という作者の願いが感じることのできる作品は、作者の頭や心の中を覗くことができるようで、創作物の存在の意義に思いを馳せることができるので すきです。

加えて そういった作品には、話の辻褄や、抜かりのない設定や説明は必ずしも必要なものではないとも感じます。

試写会自体は、本作の制作に動き出したときの熱い思いの片鱗に触れることができ 貴重な経験でした。

今作は、監督の藤井道人さんが、映画プロデューサーの河村光庸さんと共に制作を練っていた矢先に河村さんが急逝され....という過程の元に生まれた作品だったとのことで、この作品自体が藤井さんと河村さんとを繋いでいる、ものを作るということはこういうことなんだよな、と改めて感じさせてくれました。

作中のマイケルを思わず河村さんに、勝手に重ねてしまいました。

願いや祈りの先に生まれる創作物は、制作する過程も含めて、ただの消費に終わる娯楽にはなり得ないと感じます

個人的には、EDのクレジットの部分の制作に関わった方々の記載の細かさにも驚き
この時代だからかもしれませんが、藤井さんの製作に携わった方々へのリスペクトの姿勢のほかないように思えました。ひとつの作品にこれほど多くの人が、それぞれの役割で携わっていることを知ると、それだけでも作品を見る目が変わるような感覚があります。
SakakiHana

SakakiHana