おどろきの白鳥

パレードのおどろきの白鳥のレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
3.7
藤井道人監督による故・河村光庸プロデューサーの追悼映画に思えました。

冒頭の画の力で「東日本大震災映画では?」と思いもしましたが、それは導入のためのもので。
震災で亡くなったのは主人公の美奈子だけで、他のキャラの死因はそれぞれだったから、この追悼が本命の目的だと思えました。

〇美奈子=『MOTHER マザー』長澤まさみ
〇美奈子の息子・良=『MOTHER マザー』奥平大兼
〇アキラ=『余命10年』の坂口健太郎
〇勝利=『ヴィレッジ 』の横浜流星
〇かおり=『空白』の寺島しのぶ
〇田中さん=『新聞記者』の田中哲司
〇マイケルの親友・佐々木=『ヤクザと家族』の舘ひろし

(藤井氏が監督を手掛けていない作品も含めた)過去の河村光庸プロデュース作品の登場人物のイメージ=過去作そのものを指し示すような、露骨なキャラクターの置き方が目立ちました。
ヤクザの勝利ってキャラには、『ヤクザと家族』の綾野剛のイメージもかぶせたりして、メタな構造を作り出している気がしました。

そして、
〇マイケル=リリー・フランキーが演じる河村光庸
〇ナナ=森七菜が演じる藤井道人監督
の投影って感じ。

河村氏が亡くなっても、人に面白いと思ってもらえる映画を撮り続けますよ、という藤井監督の決意表明にも似ていて。
予算と名優を集めてはいますが、極めて個人的なフィルムなのかもしれないな、と思いました。