作家・三谷麻紀夫（大杉漣）率いる民兵組織に入隊した青年が、憂国のゲイたちが穴を掘り合う、めくるめく同性愛の世界に心酔していく。日本初の商業用ゲイ・ムービーと称されている、ENKプロモーション配給のピンク映画。

三島由紀夫が結成した「盾の会」をモデルにしながら、ホモソーシャルとホモセクシャルの表裏性を描いている作品。タイトルの「美しき謎」は、三島が発した言葉をそのまま引用したもの。決して、ゲイ心理をリアルに描いた人間ドラマではない。

脚本家の望月六郎が、三島の精神性を徹底的に分析してから、ゲイ映画へと落とし込んでいるところが最大の醍醐味。表面上では男同士のくんずほぐれつなのだけど、行動理念を読み解くと、きちんと（カリカチュア化された）三島像に帰結する。

大杉漣のベスト・アクティングは言わずもがな。特殊極まりない境遇に置かれた青年たちの葛藤と穴掘り合戦が、活き活きと描かれている。クライマックスに軽やかなブラック・ジョークを入れてくるところもハチャメチャで面白い。