針

ツイスターズの針のレビュー・感想・評価

ツイスターズ(2024年製作の映画)
3.8
1996年のヤン・デ・ボン監督による竜巻パニック映画『ツイスター』のリブート? 同じフォーマットを使っての再映画化作品かな。

映像技術の進歩ももちろんあるけど、基本的にはテイスト(=味付けの仕方)によって前作とは別の作品になってると思いました。
こっちのほうが良いところも当然いっぱいあり、単品としてはけっこう楽しくはあったのですが、自分はあまりにも『ツイスター』が好きだったのであのアホさにはちょっと敵わないな~というのが正直な感想。でも「ドロシー」とか映画館の登場とか、前作への目配せもたくさんありましたね。

○感想箇条書き
・ユーチューバーたちがヒャッホウしながら竜巻に突っ込んでくあたりが一番楽しかったです! グレン・パウエルは『トップガン マーヴェリック』で大ハネして以来引っ張りだこって感じなのかな。傲慢さ&憎たらしさと、優しさ&可愛げを同時に含んだようなあの笑顔はたしかにステキだなーと自分も思ってしまいました。役柄にも展開にもあまりに合いすぎてるキャスティング。
・気象についての科学的な説明がけっこうあって、これから何をしようとしてるのかが分かりやすいです。
天候予測にはちょっと憧れる☀️☁️☔️自分も風を読んで竜巻追っかけてみたいなー的なことは前作ではまったく思わなかったからここも好き。
・画面にぐわーんとモノが迫ってくるシーンがいっぱいあったので余裕があったらIMAXとかで観てもよかったなー。完全にというかちゃんと?劇場向きに作ってますよね。
・一応旧友がいる調査チームとヒャッホー・ユーチューバーチームのふたつの間で主人公が揺れ動くって感じにはなるんだけど、このへんの展開はまあまあかなぁ。この構図取りならそりゃこっちに肩入れするわと思いつつ、客観的には別にどっちが「正しい」わけでもないような気は……。展開が行ったり来たりするわりにはそこまで爽快感とか納得感には結びついてないかも。終盤も大盛り上がりまではいかないところはあったかな……。
・過去のトラウマを引きずった女性主人公が、竜巻に立ち向かうことでそれを克服しようとするというストーリーは前作を踏襲しています。大きな違いは、前作がある程度歳のいった夫婦の離婚騒動だったのに対し、こちらはまだ何者でもない若き主人公たちの挑戦物語になってること。若いお客への訴求力でもストーリーの納得具合でもたぶん『ツイスターズ』のほうが上ではないかと思うのですが、でも私は自分に全然関係のないあの離婚騒動のバカらしさが好きだったのよな~。
・これは想像なのですが、この約30年のあいだに竜巻の「災害」としての解像度が大幅に上がったみたいなことはあるのかなーと思いました。アメリカでも気候変動の影響で以前より竜巻が頻発するようになり、被害も大きくなってるらしいですし。もちろんディザスター・パニック感はあるんだけど、自分はそれ以上に竜巻の恐ろしさを強調した災害映画・被災映画みたいな印象も強かったです。『シン・ゴジラ』で河を押し上げてきた瓦礫に手を合わせるシーンを思い出してしまった……。
中盤で主人公が言う「(若いときの自分たちは)竜巻を甘く見過ぎて調子に乗りすぎてた」みたいなセリフがこのリブートの根底にあるのかなーという気がして、ようは実際被害にあってる人たちのことを思うと竜巻大バカ騒ぎ映画を再度作るわけにもいかなかったのかもなーと(前作も別に大バカ騒ぎだけじゃないけどね)。
★これはこれで良いのですが、総じて「アホだったあの頃にはもう戻れないんだな~」みたいな感慨を抱きました。リアルタイマーでもなければ自分の記憶でもないのに勝手な感想m(_ _)m

ちょこっとネタバレ感想を。
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