このレビューはネタバレを含みます
ファンを抱えるような人の犯罪(私にとってはことさら性犯罪)が報道されて、それについて考えるとき本当にいつも暗い気持ちになっていたから、ついにこういうドキュメンタリーが生まれたことに衝撃を受けつつも必然性を感じながら観ることになった。誰かを推すってことは、時には気持ちだけじゃなくて時間やお金を注ぎ込む行為なわけだから、好きだったその瞬間の熱い気持ちは忘れても、例えば繰り返し繰り返し聴いた音楽はふとした時に耳に蘇るし、購入したグッズは手元に残って部屋のスペースを占領する。目に見えるところからも、見えないところからも自分がその人を推していた痕跡に責められる。すごく短絡的に表現すると、私も犯罪に加担していたことになるのかな…とか。
ただビジュアルが好き、だけでなく(もちろんだけの人もいる)推しの人間性や思想まで愛していた人にとっては考えざるを得ないことだと思う。
私もこのドキュメンタリーを観ながら思い当たることがあった。好きな映画作品の監督が犯罪やハラスメントで俎上に上ったことがあって、それがあまりにも残念で許せなくて、犯した犯罪に対する怒りとか被害者を思いやる感情よりも先に、これからこの監督の作品はそういうレッテル越しに鑑賞されることになるんだ、と作品のこれからを憂いてしまったことだった。こんなこと思っちゃって最悪だよな、と思いつつ考えれば考えるほど脱力感に襲われたあの時の感じが蘇った。
傷ついたオタクが思ったよりこの世には多いのかもしれないな
人が人を推すということはむずかしい！
