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正義の行方のkiki0403のレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
3.9
ユーロスペース

2024年劇場鑑賞 33本目

1992年福岡県で起きた2人の女児殺害事件(飯塚事件。犯人とされた久間三千年は逮捕され06年に死刑判決、08年に刑が執行された)が、執行の翌年に冤罪を訴える再審請求がなされ、今も事件の余波は続いている。

久間三千年は無罪なのか?有罪なのか?
飯塚事件に関わった弁護士、警察官、新聞記者、犯人とされる久間の家族とそれぞれの立場から事件を振りかえる

警察も弁護士もマスコミも自からの正義の元で己の真実を信じて語っている(いた)。

疑わしくは罰せず

しかし幼児が犠牲になる性犯罪で殺人事件であればその痛ましさと恐ろしは再犯性を考えれば尚更
(女児を持つ親の私は疑わしい人全員捕まえて!と極端で危険な思考も過る)

警察の間にもそんな心情と
当時の捜査に間違いなどなかった
犯人は久間さんしかいないと
疑うことを許さない頑な自信しか見えず
(かえって逆の感情を覚えてしまうが、
後半、同じような事件が起きてない!は強引だけど説得力あった)

スクープ記事を放った西日本新聞の記者の方達は一つの真実(警察側)に寄りかかって記事を書いた当時の自分達の報道を後悔し、後に事件を取材し検証記事を掲載し続けた 
(これは簡単にできることじゃないよ!ペンのおまわりさんになってはいけないと自省の言葉、自らの記事に責任をとらないマスコミが多いと思われる中、本気で自分達の責任を真当する、全記者が見習うべき姿!)


弁護士(と家族)はDNA鑑定の不正などを探り再審請求を続け
裁判所はそれを(200ページ以上にわたる再審請求)をおよそ納得できない数枚の紙で何度と棄却
(ここで唯一裁判官の正義がまったく見えないぞっ!怒)

この事件の問題のひとつは
判決から死刑施行の早さにあって
久間さんは一貫して無実を主張し続けていたにもかかわらず
2年って早すぎだろ!

死刑制度の是非難しいと思いますが
私はやっぱり反対だ..

と司法制度の在り方にも疑問を投じてきます

人を裁いたり権力を持った人は
自分は間違っていたかもしれない
間違ってしまうかもしれないと
常に考えられる人であってほしい

事実はわからない
「正義の行方」を今も思考する
とても見応えあるドキュメンタリー
タイトル、ポスターも秀逸!
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