masumi

正義の行方のmasumiのネタバレレビュー・内容・結末

正義の行方(2024年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

吸い寄せられるようにこの映画に辿り着いた。

清水潔著の「殺人犯はそこにいる」を読み、東の足利事件について詳細に知ることができた。

その直後にいつも聞いている事件解説系ラジオで西の飯塚事件、本映画について解説を行なっておりタイムリーすぎてチケットを購入した。

東の足利事件はDNA型鑑定の証拠認定が覆され、元無期懲役囚の管家さんは冤罪と認められた。

西の飯塚事件は足利事件同様のDNA型鑑定と状況証拠で久間さんは死刑確定。そして執行。

当時の警察、死刑囚遺族、取材記者、弁護士、DNA型鑑定の有識者にインタビュー形式で展開していく。

これほど真実がわからない、見えてこない、事件はないと感じた。
警察、死刑囚遺族が真逆の証言を行う。
どちらかに意見が偏りそうになると、また意見が変わりそうになる証言が始まる。

警察は当たり前だが一貫として久間さんが犯人と主張。でも時代背景からも現代より明らかに捜査力は低かったと思われる。
最初から久間さんを犯人と決めつけていたようにも感じる。

死刑囚遺族、弁護士側は無罪を主張。
でも久間さんは不可解な行動をとっているのも確か。
そして、久間さん逮捕後、同様の事件は発生していない。

セオリー的には「疑わしきは被告人の利益に」
なぜ死刑判決が出たのか不思議でもある。

この思考の右往左往が永遠と繰り返される。
人間が人間を裁くことの難しさをひしひしと感じる。

そして何よりも印象に残ったのは、取材記者。
30年弱前に発生した事件なのに、未だにこの事件に取り憑かれている。全く忘れていない。記者とはそういうものなのか。
可哀想な気もするけど、もし自分が当事者だったら同様な気もする。

司法、警察には圧倒的に正義の存在でいてほしい。
今回の内容では残念ながらそうは思えなかった。
でもだからと言って、久間さんが冤罪だとも言い切れない。

この事件は見えない、見えてこない
製作陣、視聴者すら切望するのは「真実は何だったのか」
なにが正しくて、なにが間違ってたのか

この事件が発生したのは2月の寒い日で、雪も降っていたとのこと。
小学1年生で生涯を閉ざされたお二人のことを思うと、やはり真実が知りたいと思ってしまう。
masumi

masumi