浅野公喜

心の旅路の浅野公喜のレビュー・感想・評価

心の旅路(1942年製作の映画)
3.9
田中角栄元首相が愛した作品ということで気になり鑑賞。戦争の後遺症で記憶喪失になった男が家庭を築きますが事故に遭い、今度はその記憶を無くし(まさに「記憶にございません」)、その男を妻が追って・・的なメロドラマ。

夫婦、そして事故後に甦った過去の記憶の中で出逢った婚約者の女性も加えると人間のすれ違いの妙が際立つ作品となっており、強引に自分を思い出させることはせずじっと待つ妻、相手の心を察して身を引く婚約者の女性と女性陣の振る舞いが品を感じさせます。「扉が開く」エンディングは予定調和的ではありますが、今作の「Random Harvest」という原題を含め幾つかの意味やイメージを想像出来るものになっているのが素敵だと思いました。

婚約者の女性を演じたスーザン・ピータースが個人的に印象的だったのですが早逝しているのが残念です。
浅野公喜

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