Masato

クワイエット・プレイス:DAY 1のMasatoのレビュー・感想・評価

4.0

クワイエット・プレイスの1日目を描いた前日譚。

本作品を含む3作品すべて評判が良いというホラー映画シリーズとしては稀有な作品。エミリー・ブラントとジョン・クラシンスキーの結婚パートナー同士で作り上げてきた本シリーズをピッグのマイケルサルノスキ監督にバトンを渡しながらも、シリーズの根幹を丁寧に踏襲した前日譚となっていた。

1作目は新しい生命をテーマに、2作目は成長していく子どもをテーマに「未来へと命を紡ぎ続けていくことの大切さ」を描いていたが、今作は「最期まで生命の輝きを失わないことの大切さ」を描いていた。未来へと前を向くこれまでとは逆に、徐々に尽きていく生命の灯火を前に人間はどう向き合うべきかのその瞬間の生き方を描いている。向いている方向は違うがどちらも同じことを描いている。

それも生存本能からなる本能的なサバイバルな物語ではなく、悔いのない最期を迎えるべく死と隣り合わせの街を歩いていく。死がすぐそこにあるからこそ明瞭になってくる生命の大切さをしっかりと表現できていて、広く受け容れられる感動的なストーリーとなっていた。本シリーズのホラーの皮を被った奥深いヒューマンドラマの様相をしっかりと踏襲している。

前作に出てきたジャイモン・フンスー演じる男の家族の姿や猫映画といっても過言ではないフロドの存在、前半の騒音の使い方の上手さ、シリーズ一番に迫力があるシーンの連続があったりと様々な工夫が施されていて100分の尺を思う存分に、迫力をもって、それでいて上品に描いていて良かった。
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