紅梅シュプレヒコール

クワイエット・プレイス:DAY 1の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

4.0
癌患者の〈サミラ〉は、偶然訪れていたマンハッタンで怪物の襲来に遭遇。なんとか惨劇から生き残った彼女は、最期にピザを食べるため愛猫を連れて旅をすることを決意する‥

人気シリーズ『クワイエット・プレイス』シリーズのスピンオフであり、前日譚的立ち位置の今作

主人公は末期癌なので自分の死期を既に悟っており、生き抜く為でなく満足して死ぬ為に怪物と対峙していく設定が新鮮で面白い

"とある店のピザを食べる"という他者にはくだらなく思えるが、彼女にとっては重要な目的を果たすための旅路はスリリングで感動的です(マンハッタン島というクローズドな舞台設定も良い!)

そんな自己満足な旅路に付き合ってくれる2人(正確には1人と1匹)の登場キャラクターが、物語をよりドラマチックに盛り上げてくれています

愛猫の〈フロド〉は、誰もが一挙手一投足に神経を擦り減らしながら行動している中で自由奔放に動き回り、時には危険を呼び寄せるが緊張感ある状況下では癒しを与えてくれる重要な役割を果たしている

本来理性的な人間がするとイライラしてしまうような行動も、本能的な動物にやらせることで仕方なく思わせてしまうのが上手いです

そして、もう1人の同行者である青年〈エリック〉の存在は今作の中でかなり大きい

"ここで死にたくない"という自分の目的とはぶつかってしまう彼女の目的に理解を示し、献身的に支えてくれる姿が好印象なキャラクターなので、自然と応援に熱が入っていき物語への没入を一層深めさせてくれます

台詞は少なく、登場人物も基本的に2人と1匹だけなのに、ここまで面白く仕上げているのは見事

ルピタ・ニョンゴ、ジョセフ・クィン両名の演技も素晴らしいですし、映像も迫力満点で見応えがあり大満足

シリーズ中で今作が1番好きかもしれないです