まぬままおま

理由なき反抗のまぬままおまのレビュー・感想・評価

理由なき反抗(1955年製作の映画)
3.8
淡く儚い若者の反抗物語。

主人公のジムやジュディ、プレイトウはそれなりに豊かな家庭環境をもっている。しかしジムは男性性を誇示できない父に不満を持ち、ジュディは父からの愛情の欠如を嘆き、プレイトウは父の不在をジムで埋めようと反抗する。当時は物質的な豊かさが心の満たされと理解されていただろうから、彼らの反抗に理由の無さを見出していたのだろう。
だが彼らの心情が精神分析で解明され、エヴァ作品群に代表される物語で描かれ当たり前に受容される現代からみれば、あまりにも理由がある。

さらに現代的な視点からみれば、若者が夜な夜な出かけたり、ナイフを取り合って喧嘩をした敵のバズとチキンレースを通して友情を築こうとするのを羨ましくも感じるのである。

彼らの反抗にいたる心情は現代の若者にも言えることだろう。
だが盗んだバイクで走ることは決してないだろうし、みんなはお友達のような全体主義的な学校教育で規律・訓練され正しい子どもになろうとするかそこからはじき出されて極限的な孤人になろうとするだろう。
彼らの鬱屈さが社会への反抗から、私への反抗としての自死に至らないように。理由は解明された。ならば理由ある反抗へ。