このレビューはネタバレを含みます
悪質な転売屋吉井が因果応報とまでに周りの人々から命を狙われる…という展開から後半一転、佐野という一見好青年なアシスタントが窮地の吉井を救うというシナリオだが、この佐野が一番素性や目的が見えず、大きな暗黒となって全てを飲み込んでいくような恐怖を感じた。本来であれば吉井が罰を受けて当然な筋書きだし、人々の憎悪や悪意の方がまだ人間味のある表情だった。それをあっさり葬り去って笑顔で吉井を救う佐野は、自然災害のような、理を超えたような存在だった。
転売屋の解像度や、みんなの行動も若干腑に落ちない点もあったが、圧倒的に底の読めない佐野の怖さに全て持ってかれた。
めちゃくちゃ面白かった。