三島こうこ

ルックバックの三島こうこのネタバレレビュー・内容・結末

ルックバック(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

原作が発表された時「天才現る」とSNSでかなり皆が浮き立っていたこの作品。
私はアニメの方が良かった。
登場人物の「声」があるのと無いのとでは全く別の印象が残ったし、声優も上手かった。

ただ、小学生であれだけ上手いデッサンができる京本が「子供の落書きレベル」の藤野の画力に心酔していたという理由に説得力がない。あの幼稚なストーリーと構成の4コマの落書きのどこに「先生‼️」と呼べる程の価値を見出したのか、少しの台詞でいいから大人が納得できる説明がほしい。子どもならでは、というのも分かるが、まずそこで引っかかってしまう。

まあ後年、メインは藤野で京本は背景画担当としてヒット作を飛ばすのだから、京本は先見の明があったのかもしれないが、その面白さが説明不足で伝わらない。観る側で適当に補えと言うにはエピソードが足らない。

京本が理不尽な凶刃に倒れたあと、「そうでなかったら」のパラレルワールドが展開するが、この手法、若い人には斬新かもしれないが、結構昔からいろんな作品に差し込まれている。
古くは1992年のくらもちふさこ作『おばけたんご』。出版当時、斬新な新しい手法で話題を呼んだ。パラレルワールド系の作品は、くらもち氏の当作品以上のインパクトを感じるものに会っていない。

「藤野はこれから先、どんな作品を描くのか」それを最後に楽しみにできる作品であってほしかった。
少なくともこれに「感動」できる若さはもう私の中には残っていなかった。それが残念ではある。