学校の新聞に4コマ漫画を載せている藤野と京本という二人の少女の交流を描いた藤本タツキ原作の青春アニメ。小学生の頃遊びでちょっと漫画を描いてた自分にとってはなんとなく懐かしい雰囲気が。
起承転結をちゃんと描ける藤野と、不登校ながら圧倒的画力を持つ京本。後者の4コマは漫画というより風景画×4的なものなので、一応違う長所を持つ藤野が京本に対し強い対抗心を抱くのは少し違和感を覚えましたが(小学生だから自分の長所に気付きにくいだけ?)、足りないものを補うという点で二人が組むのは自然な流れ。
終盤には京アニ事件のような出来事が起こってしまい、二人のうちの片方が色んな責任を感じてしまうわけですが、創作意欲や鋭い表現は時に満たされたり幸せな状態よりも満たされない状態の時に結構湧き易いもの。
なんだかんだ漫画家としては順風満帆なキャリアを歩んでいた彼女にとってはあまりに大きな悲劇でしたが、それが大きな糧になる可能性を秘めていると考えれば二人の出会いも出来事も完全までいかなくても、もっと肯定出来る日が来るのも遠くない・・とも想像出来るエンディングが良かったです(ここをもっとはっきり描いたり展開していれば、もう一押しというかちょっとした物足りなさを感じなかったかも)。
ユウミ・カワイとミヅキ・ヨシダらのアニメっぽくない喋り、アナログっぽさを感じる作画や、漫画に夢中になるあまり冬になっても扇風機を置いたままの藤野の部屋、教室に何百人も居るような錯覚を覚える演出が魅力で漫画家ならではの「もう一つの世界」が描かれるのも面白く、舞台となった山形の隣の新潟出身の自分としてはコンビニや新しめの住宅も有るけれど少し歩くと田んぼばかりのリアルな田舎の雰囲気も〇でした。
「バタフライ・エフェクト」や「ビッグ・フィッシュ(劇中ではビッグ・ウナギ 笑)」といったポスターも登場。