アインシュタインの伝記的映画。
作中のアインシュタインのセリフは全て、実際に本人が述べたり書いたりした言葉だけで構成されているとのこと。その点で、本作がアインシュタインを知る資料として有用なのは間違いないかと思われる。
ただ、作家の批評性みたいなものはあまり感じられず、作品としては中途半端だと感じてしまった。
アインシュタインがとてつもなく聡明で、また平和主義者であることは十分に理解できた。また、残念ながら今でも通用してしまうような人間の真理について、当時から警鐘を鳴らし続けていたことも、尊敬に値するとは思う。
ただ、「ほんで、なんやねん」みたいな、作り手の描きたいことのわからなさとか、なんで広島だけで長崎がなかったことになっとんねん、みたいな部分でモヤモヤが残るわけです。
タイトルに「原爆」と入れるなら、そもそも題材はアインシュタインにすべきじゃなかったかもしれないし。
狙ったのか偶然なのかわかりませんが、『オッペンハイマー』に時期を合わせただけの作品なのかなって。