たかちゃん

ラ・カリファのたかちゃんのレビュー・感想・評価

ラ・カリファ(1970年製作の映画)
4.0
「永遠のフィルム・マエストロ/エンニオ・モリコーネ特選上映」
「死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版」と、本邦未公開だった「ラ・カリファ」。
『死刑台のメロディ』は渋谷パンテオンで観たが、よくぞあのような大きなキャパで上映したものだ、と思う。
『ラ・カリファ』(70)は、アルベルト・べヴィラクアという知らない監督(脚本も)作品。工場(セメント工場らしい)のストライキ。警官隊はデモ隊に放水。ドキュメンタリーのような迫力。リーダーは女性闘志(ロミー・シュナイダー)だが、『ノーマ・レイ』のような闘い方ではない。単身、経営者(ウーゴ・トニャッツィ)の部屋に乗り込み、罵倒する一方、教育も施す。経営者が人情家となることで、経営者グループから組合と裏取引をしていると、疎んじられる。さらに、ウーゴはシュナイダーに誘われ、工場を占拠する労働者の中に入ってゆく。労働者側と経営者側の狭間に置かれて、彼の往く道は…。
ウーゴは最初、労働者を見下ろす位置に立ち、無表情だったのが、対等な目線で労働者と接触するようになる。シュナイダーは、食卓で、ウーゴより上座に座る、というように、わかりやすい演出で、しかもシュナイダー様は惜しげもなくパッパとお脱ぎになるので、社会派とメロドラマが融合した娯楽作になっている。
モリコーネは、最初はおとなしく、単調なリズムから、犠牲者の葬儀の列と警官隊の激突シーンから、すすり泣くようなモリコーネ節を奏でる。『夕陽のギャングたち』や『エクソシスト2』のような遊びはないが、モリコーネが本作のテーマを理解しての作曲であるといえよう。
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