このレビューはネタバレを含みます
5/20試写 と 6/14劇場 にて2回鑑賞。話の軸は結構オリジナル版に沿っているが、オリジナルよりもかなりストレートに、いや〜な話になっていたなと感じた。分かりやすさも増していたと思う。
正直、オリジナル版にある90年代特有の渇きや質感、ザラつきと数式が恋しくなった部分はある。フランス映画になった弊害か、少し綺麗になりすぎている。
しかし、新島の復讐心が滲み出ているシーンや警察が出てきていたり、男女の体格差を感じさせる改変要素があったのはアップデートされている感じもあり良かったかなと。
吉村と新島とのシーンでは2人の対比もしっかり出来ていたし、「本当に怖いのは終わらないことでしょう」という、かなり本質に迫るセリフがあったのも唸った。そこから吉村が終わらせるという流れには怖さ(新島による洗脳的側面)もあった。
カーテンの描写、娘や復讐による犠牲者の霊が見つめてきていそうなシーンがあったのも良かった。パソコンとルンバの使い方がホラー寄りなのは本当に何なんだよ...。
家族というか夫婦を絡めた厭さがあったのは、『トウキョウソナタ』や『スパイの妻』を経たからであろうか。ラストの切れ味はオリジナル版をも凌駕する勢いだった。
オリジナル版の方が好きだが、良リメイクだったと思う。柴咲コウさんの演技も大変素晴らしい。まだ9月に『Cloud クラウド』が公開されるので判断は難しいが、今年の個人的黒沢清ベストは『Chime』になりそうな気がしている。