ヤマ

蛇の道のヤマのレビュー・感想・評価

蛇の道(2024年製作の映画)
3.5
8歳の愛娘を何者かに殺されたアルベールは、偶然知り合った心療内科医・小夜子の協力を得て、ある財団の関係者たちを拉致監禁する。やがて背後に隠された真相が明らかになっていく。

1998年のオリジナル版では哀川翔が演じた協力者は謎に包まれ不思議な存在感を醸し出している。黒沢監督セルフリメイクの本作では柴咲コウの鋭い眼光が胸の内に秘めた強烈な意志を物語るようでもある。いずれにしても冷酷さと手作り感の入り混じった復讐計画や交錯する思惑の絡み具合に妙な味わいがある。

奇妙な復讐劇は心療内科医の小夜子による一種のセラピーなのかもしれない。しかし物語の進展とともに浮かび上がる闇は深く恐ろしい。一見つかみどころがなく実態の見えない組織のあり様はどこか現実味を感じる。底が見えた先にも闇が続く。
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