黒沢清監督のサスペンス。全編フランスを舞台にしながら、黒沢清監督ならではのじめじめと陰鬱な世界観。基本的には財団に女を殺されたアルベールの復讐がメインになっているんだけど、協力者の内科医であり主人公の柴咲コウ演じるサヤコの不穏な動きもまた焦点に当たっている。当初は全ての黒幕はサヤコで、精神を病んだ内科医が患者をマインドコントロールする話なのかなと思ってたんだけど、まさかのサヤコの娘も殺されていて、財団に絡んで関与していたアルベール含めて復讐を果たす展開。全体として殺した犯人というよりは間接的にも関与した財団員全体に対して復讐するという趣旨だったけど、サヤコの動きがかえって物語の趣旨を分かりづらくしてる気がして、予想外の展開になるほど〜とはなりながらいまいちスッキリと上手く収まってる感覚にはならなかった。何か明確な答えが見つけられずボヤッとする感じは黒沢清監督の持ち味だとも思うけど、クライマックス以外は同じような監禁シーンで個人的には少しテンポが良くないかなと思ってしまった。