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夕陽のガンマン 4K復元版のHKのレビュー・感想・評価

4.8
ドル3部作4K一挙上映2本目、『荒野の用心棒』に続いてハシゴ鑑賞。
これまた何度観たことやら。
でも本作も劇場で観るのは今回が初めて。
ビヨ~ン ビヨ~ン ビヨ~ンからの口笛♪ 始まりました。さすが大画面の迫力!

序盤、賞金稼ぎのモーティマー大佐ことリー・ヴァン・クリーフに最初に“ビヨ~ン♪”と殺られるお尋ね者“ガイ・キャロウェイ”を演じるのは、『続・荒野の用心棒(ジャンゴ)』では “リンゴー”という殺し屋役だったホセ・テロンというスペインの俳優。
前から思ってましたが、キャロウェイの人相書きが落書きレベルなのに対し、次のターゲット“エル・インディオ”(『荒野の用心棒』の“ラモン”も演じたジャン・マリア・ボロンテ)の手配書は写真並み、しかも余裕の爆笑顔、同じお尋ね者でも格の違いでしょうか。

そして周知の如く、本作の真の主役はイーストウッドではなくイブシ銀のクリーフ。
当時なんと40歳(マジか!)。 嵐のメンバーと同じくらい!
貫禄ありすぎ、眼光鋭すぎ、鷲鼻尖りすぎ(笑)
しかしクリーフ、実は本作以前の作品ではパッとしない脇役ばかりで、本作の3年前の『リバティ・バランスを撃った男』『西部開拓史』でも存在感は希薄だし何より弱そう。
では本作のクリーフの何が違うかというと、圧倒的な眼力と余裕の立ち居振る舞い!
過去作品では人を射貫くようなこの眼光の鋭さと余裕の微笑みが全く見られません。
本作での尋常ではない化けっぷりを見越してのレオーネの抜擢だとすればさすがです。

相変わらず顔のドアップが多く、音楽のモリコーネとのコンビネーションも絶品。
後期3部作では肝となる回想シーンが初めて登場したのも本作。
モリコーネと言えば本作の中だけでも、口笛のテーマ曲の他オルゴールが印象的な“ガンマンの祈り”、『続・夕陽のガンマン』の“黄金のエクスタシー”の前身とも言える “殺し屋の嘆き”など何曲もの名曲が登場。サントラLPも持ってました。

『用心棒』からの逆輸入とも言えるレオーネとモリコーネによるマカロニ・スタイルは日本の時代劇にも多大な影響を与え、例えば本作の口笛のテーマ曲に『必殺仕置人』の“念仏の鉄” の殺しのテーマがそっくりだったり、『木枯し紋次郎』の合羽と三度笠の出で立ちがイーストウッドのポンチョ姿に似ていたり挙げ出すとキリがありません。

ところで邦題の『夕陽の~』ですが、ラストでたしかにクリーフは赤い夕陽をバックに去って行きますが、なぜかカメラを切り返すと去って行くイーストウッドのカットは快晴の青空でした。
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