真魚八重子

ぼくのお日さまの真魚八重子のネタバレレビュー・内容・結末

ぼくのお日さま(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

雪国のスケートリンクが主な舞台。主人公のタクヤはアイスホッケー部のキーパーだが、ぼんやりしていていつも点を入れられてしまう。そんな彼が、フィギュアスケートをするさくらに目を奪われ、それ以来彼女ばかり見つめてしまう。さくらのコーチ荒川(池松壮亮)はタクヤの視線に気づき、彼をさくらとのアイスダンスに誘う。

荒川はフィギュアスケート界で成功するのが、いかに難しいかを知っていて、さくらに近道としてアイスダンスへの方向転換を提示する。でもさくらは荒川に恋しているので、タクヤが入ってくるのが邪魔に感じる。
荒川はタクヤをまだこどもとしか見ていないが、タクヤのさくらに対する恋心に気づくのは、タクヤの視線を敏感に感じるからだ。そこには彼のセクシャリティに依るものがある。
視線の交錯、といったいかにも映画論評的な言葉は使いたくないのだが、この映画は意識的にそれをやっているので触れないわけにはいかない。視線がすべてを知り、すべての事を進めていくのだから。

三人が上手くいっているときの、少しスモークを焚いて窓からの太陽光線をあぶりだしたような、リンクの景色が印象深い。決して思い通りにならない展開も、90分台の尺できちんと語られていて見事。
真魚八重子

真魚八重子