四畳半

ぼくのお日さまの四畳半のレビュー・感想・評価

ぼくのお日さま(2024年製作の映画)
4.5
劇場で鑑賞

淡く美しいスケートリンクでの3人の心の邂逅。
感想を書くのが非常に難しい映画だが、人間関係の光と影を殆ど映像のみで描き切っており、その綺麗だけではないドロっとしたエゴも含めて個人的には凄く美しいと感じた。
淡い光に包まれた映像が幻想的。
撮影賞あげたい。

何かを美しいと思ったり好きだと感じたり(その逆も然り)する人間の直感的な反応をこの作品は安易に良い悪いとジャッジする事なく等しく映している。
この映画内に答えが無いからこそ観た人がジャッジしたくなってしまうのかも。
ジャッジというのも違うかもしれないが。
それもまた自然な人間的反応だと思う。

サクラが去り際に言ったあの一言は、セクシャルマイノリティへの嫌悪感に対してではないことは明白だし、タクヤからサクラへの想いも恋愛感情とは違うもっと根源的な憧憬だったと思う。
そういう意味で荒川は真っ直ぐな恋と表現したのだが、荒川からタクヤへの想いを性愛的な好意と解釈してしまうサクラ親子。
言葉を超えたコミュニケーションの功罪を巧みに描いてはいるが、その為にゲイである事の特性のみを都合よく利用してるようにも見える。

クィアの表象に関しては自分も少々片手落ちに思える。
ただ自分は今作の光と影を用いた画面作りと、ハッピーエンドやバッドエンドの括りに囚われないラストを想うに、彼等の関係性の変化を単純な悲劇とは捉えられない部分もあったりで、一概に差別的だとは思えないしでかなり微妙で何度か見返して理解を深めていきたい。
四畳半

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