アベジュンイチ

ソイレント・グリーン デジタル・リマスター版のアベジュンイチのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「ソイレント・グリーンは人間だったんだ!」〜ソーン刑事〜

上の言葉がこの映画の全部なのだが、2007年にやってた「みうらじゅんの『サブカルジェッター』〜2番目がいいんじゃない」でみうらじゅん先生がネタバレしてたんで気にしないこととする。

公開50周年を記念してデジタル・リマスター上映ですって。50年前ったら私が生まれる15年も前の話じゃんなんて考えてたらチケ売場で後ろに並んでた男性が「大学生1枚ください」って言ってたんで自分もジジイになったななんて思いつつ着席。

話は2022年、人口が過密し食糧難になった世界…え、設定が2年前なの?なんてぼんやりしてたら近未来(今から見たら過去だけど)のNYは超スラム。行き場のなくなった人たちが階段やら広場やらで寝泊まりしており足の踏み場もない。
いや、もっと場所考えて寝なよ…なんて考えてたら住む場所がない人たちなんですって。家なき子ならぬ家なきメリケン軍団。彼らは週に一度支給される「ソイレント・グリーン」なる未来フードを食って細々と暮らしていた。
そんな彼らを尻目に富裕層は若い女を「飼い」豪華なマンションで酒を飲んだり飯を食ったりしているという地獄の様な世界で起きる殺しと、それを捜査する刑事の話。

70年代に量産されたいわゆる「ディストピアもの」の一つと言ってしまえばそれまでではあるけど「ローラーボール」とかこれと同じくヘストンが主演した「猿の惑星」みたいな野蛮さはあんまりない。この辺りは監督のフライシャーがうまく料理したんだろう…と思ったけどこの映画の2年後にスーパー野蛮映画の代名詞でお馴染みの「マンディンゴ」とか作ってるんすよねこの人。よくわかんねぇな。。。
でもヘストンが出てるシーンは結構テストステロン高めで、流石NRA会長の座に就いた男だなぁなんて思いつつ大胆かつ繊細な演技は今見ても色褪せない魅力を感じる。

間違いなく言えるのは配信とか家で観てたら絶対面白くないなと感じていたと思う。いや、大画面で〜とか大音響で〜とかその手の映画ではないんだけど、大きな画面と音で感じる侘しさというのが結構あって思ったより絶望した。そのあと劇場から出てすぐに伊勢丹の前の交差点ででっかいホストトラックを見て違う意味で絶望しました。