たかちゃん

#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版のたかちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
安芸高田市の市長と、市議会議員らとの対立(あるいは闘い)を捉えたドキュメンタリー。ことの始まりは、元銀行員で、議会の慣習を知らず、人脈もない新市長が、初議会の模様をツイート。「いびきをかいて居眠りをしている議員がいた。政治の緊張感が足りない」(要約)。このツイートについて、議会から、「議会の批判をするな。選挙前に騒ぐな。敵に回すなら政策に反対する」と説得?恫喝?あり」と、これまたツイート。議長が回答書を提出するが、不備、不満をツイート、「国語のテストなら0点」と斬り捨て。孤立無援状態となるが、選挙で当選した若手2名が市長と議会刷新のため動くが、副市長公募に議会から反対され、若手議員の議長、副議長選挙に出馬するも落選、といった具合。
この手のドキュメンタリーは、被写体(主人公)の当選までの選挙活動を描いても、当選後、実は無能力のアホだったという恥ずべき後日談が残った作品もあるので要注意だが、本作は市長を主人公にしているが、必ずしも議会が悪で市長が正しいという描き方ではない。中立というわけではないが、「やりすぎだよ、市長」と言いたくなる場面もあるし、根回しをしない(できない)ことも、対立を生む要因であることは否めない。選挙も定数16に対し、18人が立候補、うち現職12人は全員当選している。これは市民の市議会刷新に対する無関心さを象徴していると思うが、本作は市民への批判はない(地元テレビ局の制作だからか)。河井夫妻の現金バラマキ事件の地元だけに、市民の政治に対する不信感が無気力の要因だろう。作品は現在進行形で終わらざるを得ないが、市議会の円滑運営ばかりを追求し、議員からは、「市民の豊かな生活」、「幸せ」についての言葉がまったくなかったことが恐ろしい。
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