🎬2024年劇場鑑賞121本目🎬
Filmarks試写会にて鑑賞させて頂きました。
児童養護施設で暮らす子供たち、そして彼等が独り立ちするまでを等身大に捉えた真摯なドキュメンタリー。
異なる年齢の少年少女がクリスマスプレゼントにはしゃいだり、一緒に登山したり、喧嘩したり、怒られたり、、そんな彼らの日常を垣間見る。
ありのままを映している為一般的なドキュメンタリーと比べて物語性は薄いが、象徴的に何度も挟まれる欠けた月とそこに寄り添う星の映像、ひたすらフルートを吹く少女の成長、同じ場面を違う人物視点で映すなど、無骨になり過ぎない演出も素敵だ。
出演している子供のプライバシー確保のため、ソフト化も配信もされないとの事。
当然、利益を考えたら劇場公開だけって厳しいと思うが、それでも子供たちの未来を優先した決断をした監督、プロデューサーはじめ関係者の人々には頭が下がる。
以下、内容を少し細かく書く。
あまり分かっていなかったのだが、施設で暮らす子の中には身寄りがなく産まれてからずっと施設に居る子もいれば、親やきょうだいが居て実家もあるけど一時的に施設で過ごしている、という子もいる。
印象的だったのが、家族のある子供が家族のない子供の前で「パパの家に行けばおもちゃが沢山ある」「俺はお母さんにもプレゼント貰える」等と発言した際に職員はその発言を咎めたりはせず、逆に親のない子に対して「お前には施設しかないけど、それとどう向き合っていくか考えていかないと」と促した場面だ。
大きな家であり、小さな社会なのだと感じる場面だった。
施設の子供たちが施設の事を「家ではない」「家族とは思わない」と言う場面が繰り返し映し出されるのも印象的だ。
そう思う事で自分を守っているのか、思春期で照れくさくて本心を話せないのか、本当の家族が迎えに来てくれる事を諦めなくないのか、、その心は様々だと思うし、そこを詮索したいとは思わない。
しかしこの映画が一味違うのは、そう繰り返し言っていた子のうちの一人がアジア某国の児童養護施設にボランティアで訪れ、同じ境遇の子が「家族が沢山いるようで幸せ」「辛いと感じるのは学校の試験の日くらい」と語るのを見てショックを受ける……という所まで見せてくる点だ。
海外の子供たちが日本の子供たちと同じように1つのテーブルでご飯を食べ、少し大きなネクタイをしめ、靴紐を結び合い、靴下を履く。わかり易く日本もこの国も同じであると示すシークエンス。
では、施設の人たちを家族と感じるか否か、幸せだと感じるか否かの違いはどこで生まれるんだろうか。すぐに答えは出ないが、考え続けたい課題を持ち帰ることができた。
竹林監督は、本作を撮るにあたり先ずは子供達に顔を覚えてもらおうと1年に渡って施設に通いつめたそう。途中で映る子供がMONDAYSのTシャツを着ていたが、みんなで観たりしたのかな?と想像してほっこり。
少しでも多くの方に見てもらいたい。是非劇場へ!