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サウダージを胸に
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『サウダージを胸に』に投稿された感想・評価

tsu
3.8
あれ?これドキュメンタリー??
と思って一度確認した。俳優さんの演技も自然すぎて未だにあの人達はプロの俳優さんなのか疑問に思ってる。

映像も荒かったり、たまにブレたり
でも映しだすものはとても綺麗で
なんでもない日常や当たり前のことを
とても美しく見せてくれた。

主人公のブルーノは目の疾患があって
徐々に視力が低下していく…

思春期真っ只中のブルーノの葛藤や成長していく姿、失明した時の受け入れかた、友達や家族の柔らかくも深い愛。なんだかとても良かった。

退屈な部分もあったけど観るのを止めようとは思わなかった。1時間後位からはさらにグッと引き込まれた。

ラストの雨の中で雨を楽しむシーン、短いシーンだけどとても印象的。「Bittersweet Rain」ピッタリだわ。

終わりかたも良かった。

とりあえずなんでも突然なのね(笑)

幸せってのはそこらじゅうに転がってるんだなぁと再確認させてくれる。
ブラジル映画祭in東京、2024にて。

手ぶれカメラ、ざらざらした画質、時折焦点があやふやになるショット、…
これらのことにより、観始めた時はドキュメンタリーかと思った。
…なんの事前情報も入れずに鑑賞したので…。
しかしすぐにこれは主人公・ブルーノが退行性疾患によって視力が徐々に衰え、ついには失明してしまうということを表現しているのだということに気づく。

いわゆるエンターテイメント性を重んじた作品とは真逆の、今回の映画祭上映作品の中でも一番 作家性の高いものだと感じた。

キャストも演じた俳優さんたちそのままの名前だし、もしかしたら実話を元にしたのだろうか。

一人の少年が病いと向き合いながら、悩み葛藤し、成長していく姿を描く。

そこここに性差別問題、社会のシステムの貧しき者に対する不寛容さ… なども織り込まれているのだが、それとて過度にドラマティックには描いていない。
あくまでそっと、静かに語られていくので、逆に現代の現実問題であることとして、目前に突きつけられる。

ラスト、完全に光をとらえられなくなったブルーノが、ガールフレンドのアンジェラといっしょに目をつぶり、雨に打たれるシーン。
この作品の英題『Bittersweet Rain 』はこのシーンから取られているのだろう。

それは、観ている者にある種の希望を抱かせてくれる光景でもある。
ブラジル映画祭2024で上映された後、Netflix独占で超ひっそりと配信されているブラジル映画。

徐々に目の見えなくなる病気を患うブルーノの青春を描いた繊細な話で、普遍的な出来事をブルーノ個人の狭い視点から見ることで超個人的な経験へと昇華させている。

ブルーノはテレーナという恋愛相手として気になっている友達がいて、でもテレーナはブルーノのことを何とも思ってない。そして、クラスメイトのアンジェラはブルーノに密かに思いを寄せている。この構図だけだと漫画じゃんと思いそうだけど、基本的に全員本音は話さずに内に秘めているので良い意味で全然ドラマティックになってくれない。

段々目が見えなくなるということは今日できたことが明日できなくなるということであり、そのことでブルーノはあえて未来を考えないようにしている様子。"あんまり三角になってない3人の関係"も微妙で、思春期のやけに居心地が悪く、明日どうなっているのか予想もつかない時期の先の見えなさが鮮明に描写されている。実話かと思うぐらいリアル。たぶん実話入ってる。

ブルーノだけじゃなく、アンジェラとテレーナの関係も複雑。テレーナは医学部に合格していてすぐに都会へ行く予定で、ブルーノにもアンジェラにも思わせぶりな態度を取る。テレーナは恐らくレズビアンかバイセクシャルで、ブルーノの母親が「(女の子同士の交際が)ここではあり得ない」と何気なく言うようにこの場所は保守的。だから、父親以外には何も言えずに誰とも深い関係を結ばずにいることがブルーノ達にとってはどっちつかずな嫌な態度に見える。脇役にもこんな生々しい背景が用意されていることを考えると、やっぱり自伝的な映画なのかもしれない。

そして、後半。
どうにもならないこと、どうにもできないことをそれぞれが受け入れて、それでも忘れることはできない。まさにサウダージ。
空き家だと思ってた家に人が住んでた、空を見上げて雨を感じた。

こんな良い映画作ってくれちゃってさ……こういう埋もれた良作、どうやって見つけりゃいいのよ……。