本作品を観て、鑑賞前は国を憎んで人を憎まずのイスラエルへのスタンスが、国も人も嫌いに変化してしまった。
この映像は今回のガザ空爆以前のものだが、それでも十分に許し難い。いくら本作に在るパレスチナ人と兄弟のようなイスラエル人がいたとしても全体の1%にも満たない少数派で、もし彼が地元で同じような心情を吐露しようものなら、心無い暴力を受けること必至。命すら危ういのではないか。
勿論、ハマスの行為を容認するつもりはさらさらないけれど、自分たちの行っている行為は棚上げし、容赦ない無差別攻撃を仕掛けるのは如何なものか。
イスラエル人はナチス・ドイツと何処が違うのだろう。ついこの前まではパレスチナ人をヨルダン川西岸へゲットーよろしく押し込めていたけど、今回を機に遂に民族浄化へ乗り出してしている。
震えがくる位におぞましい。
ちなみに「名もなきもの」「ブルータリスト」「リアルペイン」は本年アカデミー賞の主要部門の最有力候補。
うち後ろ2つは背景に第二次世界大戦でのユダヤ人排斥があるのだけど、ガザの人々のことが頭を掠め、正直、素直に入り込めなかった。
そして、それぞれユダヤにルーツを持つ主人公であり、同じく主役を演じた3名のうち誰かが主演男優賞に輝くだろう。
戻して本作もアカデミー賞(ドキュメンタリー部門での)最有力候補だ。
正真正銘の名もなきものたちが訴え続けるこの作品も、同じ舞台の上で受賞の栄誉に輝いて欲しいと切に願う。