ダイゴロウ

ノー・アザー・ランド 故郷は他にないのダイゴロウのレビュー・感想・評価

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映画館にて鑑賞。
2025アカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞作品。

「世界で最も解決が困難」とされるパレスチナ問題について、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区に住み、故郷が失われていく様子を世界に発信するパレスチナ人の青年バーセルと、彼に協力しようと訪れたイスラエル人の青年ユヴァルの、立場が異なる2人を中心としたドキュメンタリー作品。

パレスチナ問題のうち、特定の時期の特定の地域に住むパレスチナ人視点の作品であるため、根が深過ぎるこの問題の全容を理解できるものではないし、イスラエルとパレスチナのどちらが悪だと判断できる作品ではないことは大前提として、何の罪もなく普通に暮らしていたパレスチナ人の故郷が、日々破壊されている異常な状況であることは間違いなく、この不条理を世界に広く発信出来ている点で、本作の価値や意義は非常に高く、改めて世界に疑問を投げかける真のドキュメンタリー作品だと言える。
(また、人物を中心に据えていることもあってか、ドキュメンタリー映画としての構成の観やすさも特筆に値する作品だと思う。)
特に入植者(民間人)がパレスチナ人に発泡した際の兵士の無反応感が許せない…。

撮影期間が2023.10月までの4年間であり、同月のハマスからのイスラエルへの攻撃による影響まで十分に拾うことが出来ない点は、強いて言えば残念ではある。(より深く緊張状態に陥ったものと想像される。)

バーセルはオスカー受賞後もリアルタイムで悲惨な状況を投稿してくれているが、今のところオスカー受賞による具体的な効果は感じられない状況に見える…。