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美しき仕事 4Kレストア版のmnsのレビュー・感想・評価

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)
4.0
内面化されたホモフォビアが過剰な暴力として剥き出しになる。シンプルな筋だと思う。そこに外国人部隊の兵士や流石のアクロバットをこなすドニ・ラヴァンらの身体がしなやかに躍動する様式美的なシークエンスが挿入されることで物語は「肉付け」され、その美しさで押し切った感も正直なくはない。が、言葉以上にダンスや訓練の身体動作、眼差しの投げ方で憎しみや絶望、はたまた解放を雄弁に物語る語り口はかなり好みだった。

その傍らで旧宗主国と旧被植民地国、白人と黒人、男性と女性、の間の力関係、その不均衡にも目を向ける素振りがある。単なる愛憎劇に留まらない、広がりを持った映画だとも思う。

ドゥニ監督チャーミングだしスマートだしかっこよかった。当時ジブチで何を感じたか(撮影監督の"le début du monde ou la fin du monde"との発言は側からスクリーンで見てもドンズバな表現だと思った。析出した塩が広がる大地の終末感たるや)や「女性監督の”再評価”の流れについてどう思うか」という渋い問いに対する率直かつ尤もな回答など面白い話が聞けた。なんだBunkamuraでもやるんかーという感じだったけど今日遠出して良かった。
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