A8

フォロウィング 25周年/HDレストア版のA8のレビュー・感想・評価

3.7
ノーランデビュー作
まだ20代でこのクオリティ、、恐ろしや。

一人の作家志望の青年が行き詰まった人生、つまらない人生の暇つぶしとして
人を尾行するという
あまりにぶっ飛んだ解決法を思いつく。
自分なりにルールを設け、それを楽しんでいたのだが、
ある日、そのルールを破るほど目をつけてしまう者と出会うことに、、

彼は人の家に入り込み盗みを働いて生計を立てるとのことだった。
ひょんなことから彼のその盗みという仕事を手伝うことになったのだが、、
それが全ての罠の入り口だった。


人生とは恐ろしい
一つの選択の誤りが
ぶっ飛んだ解決策の行先が
これほど恐ろしい代償を生み出すとは。

自分より優れたキレる脳みそを持つ人間はそりゃたくさんいることなどわかっている。
その脳みそをどんな方向に持っていくなど知る由もない。そして、全てが善の方へ脳みそを働かせるなど私たちのエゴなのだろう。
最高な発明により人助けで世の中の救世主となるものがいる一方、
その脳みそを悪い知恵の方に使うものもいる。
そして、そんな奴の道具として使われることもこの世の中ではありうるのだ。
ちみたちのちょっとした解決策のための一線を越えてみた行動の先にそいつらが潜んでいるのだ。

本作の主人公は、完全にこの罠に引っかかっている。
だが、そのことに気づくまでもちろん罠のワの字すら知らない。
それが華麗な罠に引っかかったことを知る時、どうしようもない絶望が押し寄せてくる。

主人公の取調室にて警官からアリバイが見事に崩されていくシーン。
それはそれは恐ろしい。


バンっ!とひっくり返すような罠の仕掛けの披露は絶望と驚きとノーランの非凡の才能を画面に映し出した。

盗まれて、うしなわれて、初めてその真価に気づく。
平凡でつまらないその人生でさえあまりに尊く雲の上の存在となり、今の彼を上から嘲笑う。
A8

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