役所広司さん主演作が『ピンポン』の曽利文彦監督というのは意外性があると思いました。
『里見八犬伝』は有名ですが、この前やらなかったっけ?って思ったら『真田十勇士』でした💦
『里見八犬伝』は全然知らないので普通に楽しめました。こんな話だったんだ😳
本作では『里見八犬伝』のストーリーと、それを執筆する滝沢馬琴(役所広司)と『里見八犬伝』の話の聞き役の葛飾北斎(内野聖陽)との会話劇から成る映画です。
『里見八犬伝』をそのまま映画にしたら現代ではストーリーがシンプル過ぎるので滝沢馬琴の執筆を映画のもう一つの軸にしたのは良かったです。
僕の好きな役所広司さんも活きています。
役所広司さんと内野聖陽さんという共演も良かったです。一回り年齢が違うのに葛飾北斎は滝沢馬琴よりも年上。そういう人物を演じる内野聖陽さんも素晴らしいです。
先程、『里見八犬伝』のストーリーがシンプル過ぎると書きましたが、もう少し詳しく書くと物語が現代に至るまでどんどん進化していっている。『里見八犬伝』とか昔の物語は基盤になって残っていってるんですよね。基盤があるから応用が効いた物語が生まれた訳です。それを否定するのは違うと思ったので、ここに書いておきます。
それでも『里見八犬伝』がまさか怨念との戦いだとは思わなかったです。ホントに犬が出てきたのも意外でしたね。
本作で1番ビックリしたのは八犬士の苗字に全員、犬がつくんです。バレバレじゃないですか?
元は活字の読本。小説みたいなものでしょう。
活字なので人物を現すのに名前を出さないといけない。犬が漢字に入ってたら、玉を持ってようがアザが有ろうが無かろうが八犬士でしょう。
どうせなら狼山勘兵衛とか出てきたら、どっちだろ?ってなりそうですよね。
思い切って都衣譜羽度瑠とか怒尾部瑠萬とかにしたり、土佐健四郎とか紛らわしいのも出せば良いのに。
話はストーリーに戻りますが、滝沢馬琴という人が勧善懲悪にこだわって善をなして悪をなさんとする生き方にこだわって生きた生涯は面白かったです。
息子の宗伯(磯村勇斗)や妻のお百(寺島しのぶ)との関係性が自らの生き方を再考する事になっていくのは見応えがありました。家族というのは時に呪いの様に縛られるんだとも思いました。
何かに没入して凄いものを作る人は家庭を顧みないのは良くある話ですが、あまりにも辛辣な言葉に観ていて苦しくなります。
お路(黒木華)という息子の嫁に来てくれた義理の娘との関係も良かったです。
『里見八犬伝』では勧善懲悪シンプルストーリーであるのに対して滝沢馬琴の生涯が複雑にこんがらがったストーリーで見応えありましたね。
曽利監督はVFXを扱って映画を撮るのは分かっているんですが、少し粗く感じました。
というか普通のシーンなのにグリーンバック丸出しで役者が浮いて見えて、こんなシーンでVFX使ってるんだと驚きました。ちょっと素人目に見ても粗く感じました。
役所広司さんと内野聖陽さんの演技だけでも素晴らしいので観てよかったです。『里見八犬伝』の内容も知れましたしね。