美しい謎と、苦い現実。
この作品はフィクションなのか、ノンフィクションなのかも明かされておらず、作品自体が謎に包まれているとか。
映像は柔らかくて美しいのに、音や言葉は不穏で、変な夢を見たみたいだった。
また岩山はどれも悲しい人の顔に見えて、岩山を登ってしまった人々の最後の姿を想像させられた。
失踪した人々にスポットがあたるわけではなく、残された人々達がメインで描かれていく。
だから実際、失踪した人たちが一体どんな性格で、どんな生活をしていたのかもあんまわからないし、ただ野次馬のようにそこでおきてしまった事件を眺めることしかできなかった。
事件をきっかけに、評判が悪くなってしまった学校、学費の払えない生徒や、辞めていってしまう先生。
どれもピクニックのシーンとは裏腹に現実的で、確かに実話なのではと錯覚してしまうほど、生々しいものだった。
物語中盤、ズズズッといびきのような音が聞こえて、あぁ、気持ち良くて寝ちゃったのかな?なんておもってちらと横をみたら、号泣する女性がいた。
スクリーンに照らされたあの表情が頭から離れないな。
一体何を思って涙を流していたんだろう。
これも美しい謎だ。
2024年62本目