セキ

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版のセキのレビュー・感想・評価

4.0
白昼夢のように始まり終わる映画だった。
少女たちが失踪する岩山は常に凶暴な動物のようにそこにずっと佇んでいて、こちらが見ている時はじっとしているのに、目を離した瞬間に全てのものを攫っていってしまう。ただの岩壁をまるでこちらをじっと見下ろす顔のようにすら見せてしまうカメラワークと、抗いようのない強大で低い圧を感じる音響効果は非常に見事で、ある種のモンスター映画だなと思った。
だからこそ学校周りで展開されるロービートなドラマは悪くはないんだけど、岩山のシーンとのギャップで少しぼーっとしてしまった。
音楽がとても良い。笛の音がこの映画の持つ確実な不穏さと曖昧な美しさを的確に押さえている。
とにかく前半の幻想的なシーンたちが頭を離れない作品。良い時間だった。
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