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英霊たちの応援歌/最後の早慶戦のmhのレビュー・感想・評価

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タイトルから「ラストゲーム 最後の早慶戦」とほとんど同じ展開を予想するも、その映画が90分かけてやった部分を30分でちゃちゃっと済ませる。
その後は学徒出陣+海軍+神風特攻隊ものへと移行する。
大学生くくりの戦争ものといえば「聞け、わだつみの声」なんかが思い浮かぶけど、こちらは終始明るい。
同監督「日本のいちばん長い日」のテロップ芸と、「血と砂」ばりの青春もので尻上がりに面白くなる。
大学生たちは早慶の野球部ばかりではなく、六大学の様々なクラブ活動――落語研究会、スキー部、レスリング部などをしていた若者たちを群像劇タッチで描いていく。中には元五輪候補なんてひとも。
遺書を書くくだりで、書けねーと悩んでるあたりがいいね。
銀座通りのお店を思い出すくだり「さすが慶應だな」だったり、暇さえあれば壁を相手にキャッチボールしてる男が実は金目当てで野球してたりと、細部が憎いほどうまい。
ラストは「血と砂」のあの感じにも匹敵する盛り上がり。
ほか、零戦はやっぱり「れいせん」と呼んでるし、特攻とはいわずに「つっこませる」だった。予備役の大学生は「スペア」と呼ばれてたりした。
女中から仲居、仲居から芸者、芸者から女郎という女性の転落も描いている。
「つけ」とは、両手を高く広げて尻を突き出すこと。教官たちがバッターで叩きやすくする。「ケツ」をひっくり返して「つけ」なのかもな。
どうしたって「ダイナマイトどんどん」を思い出させる田中邦衛は反則。
ただの戦争映画だと思って見ちゃうとかなり厳しいかもしれないけど、岡本喜八メドレーみたいな感じでのぞむのがよろしいかと思う。
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