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トナカイは殺されてのNoveのレビュー・感想・評価

トナカイは殺されて(2024年製作の映画)
3.8
トナカイを放牧して暮らすサーミ人。
しかし村には、先住民をよく思わない者がいる。
トナカイが次々と殺されていく。
幼少期にエルサは、犯人を目撃したが、その時は怖くて証言できなかった。
成人となったエルサは、口を閉ざすサーミ人の中で、唯一犯人を訴える。
雄大な大地でのトナカイの群れは圧巻で、サーミ人たちの生き方を克明に描く。
エルサの真っ直ぐな気持ちは、雪に覆われた大地のように清く、美しい。
トナカイを貰うのではなく、借りると言う表現は、全ての命は大地のもの、いつかは自然にかえる考え方。
厳しい土地で暮らす人々の共通点でもある。
生きる厳しさを知っているからこそ、単にトナカイの死を悲しむのではなく、受けとめる気持ちは、少女の時から身を持って知る、神聖さを感じさせる。
事実に基づいた物語であり、長いあいだ隠されていた犯罪である。
サーミ人の生き方と、ひとりの少女の成長の物語でもある。
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