【病気ものの中では
稀有な作品】
一時期、香港映画や中国映画を
ハマって観ていたが、
いつしか観なくなった。
そういえば、昔は国とか関係なく、
何でも観てた気がするけど。
最近は、邦画と洋画だけだった気がする。
・・・・なんて事を思い、
こちらの作品を観てみたら、
すっごく良かったんです。
129分もあって見応えもありますが、
長くは感じない。
主人公2人のキャラと、テンポのよい展開。
映像的にも、現実的な世界と
幻想的な世界が、
美しく織り込まれていて、飽きさせない。
主人公2人の演技力も相当高くて、
どちらも難しい役柄を、
きちんと説得感を持たせて演じていた。
脚本も素晴らしくて、病気ものだけど、
すっごく前向きになれる。
邦題の「人生って素晴らしい」って、
どうなんや?と始めは思ったけど、
視聴後の気持ちは、
きちんとそこに着地していたので、
なかなか良い邦題じゃないかと思えたほど。
実は保険証が切り替わって、
臓器提供の記入をずっと、
してなかったんですよね。
臓器提供する~と家族には
公言してはいるんですが。
きちんと記入してなかったな・・・
と思い出して、
すぐさま、記入しました。
描かれている闘病のリアルさが秀逸で、
そのような衝動に駆られた。
人生は、辛いことも沢山あって、
孤独で投げ出したい時もある。
けれど、人生捨てたものじゃない。
人間の感情の美しさと、
映像の美しさが、
見事に融合した作品だと思う。
☆以下ネタバレです☆
とにかく、透析患者さんの生活がリアルで、
観ていて、本当にしんどい。
色んな事を我慢して生きる人生は、
主演のリンミン演じるリー・ゲンシ―様の
ノーメイクでの
体当たりの演技のお陰で、
非常にリアルに伝わってくる。
どこにもぶつけられない怒りや、焦りや、
ヒリヒリするような孤独感が、痛々しい。
精神的に追い詰められたリンミンは、
ネットに投稿する。
【あなたが亡くなったら
私があなたの家族の面倒を見ます。
だから私と結婚して
私にあなたの腎臓をください】
家族だと優先的に、
移植を受けられるんですよね。
一瞬投稿して、すぐ消すんですけど、
その一瞬の投稿を、
脳腫瘍で治療が出来ないというリュトが
見たんですよね。
このリュトが、本当に変なキャラで・・笑
リュトと出会って、
更にイライラする心情も理解出来る。
というか、ここからラブストーリーって
無理じゃね??
と思うほど、リュトへの嫌悪感に同調する。
清潔感もなく、意味不明な言動、
ちょっと、おかしな人よね・・・
って思ちゃうリュトだから、
この2人が恋愛関係になるわけ??
って疑問に思うくらい、
ギリギリのところのキャラ設定だった。
けれど、リュトがリンミンの
透析用のシャントをつぶしてしまった事で、
関係が変わっていく。
涙を流して謝罪するリュトは、
リンミンの為に、
生活をともにするようになる。
自分に一生懸命尽くしてくれるリュトに、リンミンは、心を開いていく。
屋上の宇宙人との交信で、
トランシーバーで話すシーンは、
すっごく幻想的で、美しかった。
リンミンの表情の違いも、
突然なものではなく、
本当に少しづつ変化していく様が、
繊細で、うまい。
ファイトって叫ぶ所が、
本当に、感情がすごく入ってて、
相手を奮い立たせて、
自分も奮い立たせて。
仲間というか、同志というか、
そういう2人の関係性が、
すごく伝わってきました。
そして、
2人は、結婚するんですよね。
個人的には、ここが、
非常に勿体ない箇所ではあったんだよね。
リンミンの表情の変化からリュトへの
気持ちを十分感じるんだけど、
結婚に同意する所が、
イマイチ説明不足で。
そりゃ、リュトも本来の目的ための
結婚・・・
と思い込んじゃうのも分かる気がする。
リュトとの結婚を決めた理由を、
もう少し明確でも
良かったかな~って思うんだけどね。
途中から出てくる互いの家族も、
凄く良かったですね。
親に内緒で、結婚したリンミンを、
怒りたいけど、「腎臓をくれる・・・」
という甘美な条件。
もう、なんというか、
この父親の演技が、
素晴らしいですよね。
自分の娘の事だけでなく、
同じように病気で苦しむ青年のことも、
同じように、心配し、
悲しく思っているところ。
そして、リュトの母親もまた、
息子を生かせたい・・・・と思うところ、
同じように病気で苦しむリンミン。
彼女の良さをきちんと理解している所。
とにかく、悪い人がいないのも、
この作品の最大の魅力です。
リュトは脳腫瘍の再発。
でも、治療出来ないというのは嘘で、
本当は治療出来るのに、
前回の治療がトラウマで、
もうあんな経験をしたくない・・・・
とこのまま死を
選ぶつもりだったんですよね。
でも、リンミンと出会いは、
その目的は、
リンミンに腎臓をあげるため・・・
に代わっていく。
でも、リンミンは、
リュトに生きて欲しい。
最終的に、リュトは手術が成功して、
リンミンの腎臓は、そのままだ。
リンミンの状況は変わっていないけど、
リュトと出会って、
彼女の世界は大きく変わった。
相変わらず、透析を受ける日々。
でも、そのそばには、リュトがいる。
リュトのまた、
再発の危険性とともに生きていく。
状況は厳しいが、
2人支え合っていきていく。
ああ、人生捨てたもんじゃない。
人生は、すばらしい。
闘病ものながら、そんな着地点が
用意されている稀にみる秀作だと思う。
あと、この主演の女優さんを観てると、
ノーメイクと、メイク時の
美しさの違いが、
楽しみでもあります。
ノーメイクでは素の美しさや、
人間の感情を、
ダイレクトに感じれるし、
メイクした時の可愛さには、
グッと息をのむ。
そして、リュト役の
ポン・ユーチャン様・・・・・
本当に、変なキャラクターで。
男前とか全然思わないんだけど。
もう、めちゃくちゃ男前やった・・・・
中国も、俳優さんたちの演技力凄いのね・・・と
一瞬で感じちゃったわ。
確かに、後半、坊主になっちゃうと、
男前感隠せてなかったけどね~。
☆素敵な言葉☆
「人は自分の人生の脚本を
読んでから選ぶもの」
でも生まれた瞬間に忘れてしまう
リンミンが、リュトに言う台詞です。
でも、リュトは反発します。
いや、選べるなら、
こんな人生選ぶワケない!!って。
そりゃ、そうだよね。
この若さで、脳腫瘍で苦しみ、
人生に絶望してる。
でも、同じように病気で
苦しむリンミンは、言います。
「私も良くない。
でも、自分を信じる。
自分で選んだんだから理由があるはず
どんなにひどくても失敗作でも
一時的なものに違いない」
自分を信じる・・・って良い言葉だけど、
すごく敷居が高いというか、
レベルが高いというか。
自分を信じるって、なんか難しい。
でも、この言葉は、
なんか、すっごく腑に落ちたんですよね。
自分の選んだであろう人生、
信じてみようかなって。