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ジェニファーのしたことのblacknessfallのレビュー・感想・評価

ジェニファーのしたこと(2024年製作の映画)
3.7
その夜、カナダ郊外の閑静な住宅街はパトカーと救急車、報道陣が駆けつけ不穏な喧騒に覆われた。
「両親が襲撃された、すぐに来て」錯乱した声で警察に通報した一人娘のジェニファーは奇跡的に無事だった。しかし母親は死亡、父親は意識不明の重態。3人の男達が押し入ってきたとジェニファーは証言する。金目のものを物色した形跡はない。両親に恨みを持つ者の犯行か?しかし、ジェニファーの両親は勤勉、品行方正、良い評判しかない。ベトナムから移住してきた両親は2人とも身を粉にして働き瀟洒な住宅と高級車を所有するまでになった。コミュニティからの信頼も厚い良き移民夫婦。そんな彼等を襲ったのは誰か?そしてその理由は?

て勿体ぶって書いたけどさぁ、タイトルが思いっ切りネタバレだから言うけど、両親襲撃の主犯は娘のジェニファーなんだよ。
ジェニファーのご両親は世間的には良き住民なんだけどハングリー精神と上昇志向の強い2人は自分らが持てなかったステータスである高学歴を得ようとジェニファーに行き過ぎた英才教育をする教育虐待系の毒親だったことが供述の矛盾を突かれ犯行を自白したジェニファーの口から語られる。

これを聞くとジェニファーに同情を禁じ得ない。医者か薬剤師以外の進路は認められず成績が下がると激しく叱責される。全ての生活を親に監視され彼等の指示したことしか許されず、心休まるのは自身も好きだったピアノのレッスンの時だけ。成績は上がり学校でも活発で人望のある親が望む優等生を必死に演じていたが、心は死に瀕していた。そんな時に彼女の悩みを親身に聞いてくれたダニエルと付き合うことになる。生きる喜びができたジェニファーだったがそれも長く続かない。優等生のジェニファーと違ってダニエルはチンピラだった。麻薬(大麻?)の売人をやり逮捕歴もある不良。二人の交際を知った両親は猛反対しジェニファーはダニエルに別れを告げる。
ジェニファーには他にも苦悩があった。大学の薬学部入試に合格したと両親に嘘ついていた。修士課程修了証明書を偽装したりフェイク画像を使い学歴のない親を騙していたが、卒業して薬剤師になれるはずがない。嘘がばれるまでの時間も迫ってた。しかし、長年大学生のふりをして親を騙し続けられるって凄いよな。本当に頭は良いんだろうな。
ジェニファーは別れさせられた後も密かにダニエルと連絡を取り合っていた。ジェニファーの両親が死ねば多額の保険金が入り自由に暮らせる、そしてダニエルと人生をともにできる。
ジェニファーはダニエルに言う「親を殺す方法あるかな?」それを聞いたダニエルは麻薬密売の人脈を使い殺し屋を雇った。

教育虐待をテーマにした韓国ドラマ『SKY キャッスル』に出てきそうな展開に驚くが、人が抱く“必然性”を考慮する必要があるドラマと違い、現実の事件は滑稽で遣る瀬無く虚しく苦いものになることがある。この事件はまさにそれだ。

ジェニファーが親を殺してまで一緒になりたかったダニエルだけど、先述したとおり頭は良くない、それだけじゃなく顔やスタイルはもっと悪い笑 麻薬の売人という経歴とはかけ離れた小太り低身長、そして可愛くない童顔メガネ👓️という完璧なチー牛🧀🐮なんだよ。取り調べの映像見ても殺し屋を手配できるような大胆不敵な人間には見えない、どう見ても頭の悪いオタク。
ジェニファーは超優等生でルックスもいい、絶対モテただろうに何故こんなチー牛🧀🐮が良かったんだろうかと不思議だった。
でも、公開された二人のメールのやり取りを見るとダニエルの優しさが伝わる。心なんだろうな。日本のチー牛🧀🐮が漏れなくモテないのは奴等が言うように「女がイケメンか金持ちしか恋愛対象にしない ダサくてキモいルックの俺等をゴミとしか思ってない」からではなく、そうやって女性に逆恨みしたあげくアンフェになり勝手にコンプレックスを持ち自立した女性恐怖からロリペドに走りキモオタと化す、そのルックス以上にキモいメンタリティが原因で女性に相手にされないだけなんだよ笑 日本のオタクはダニエルの爪の垢でも煎じて飲むべきだよ。まだ服役してるらしいから今からカナダの刑務所行ってダニエルに面会しに行けよ✈🇨🇦😏

と、オタクに愛のあるアドバイスしたところで事件の話に戻る。
ダニエルが優しいと言ったのはこの事件、ダニエルには実は何もメリットないから。この時、ダニエルには新しい彼女いた。だからジェニファーのためにリスク取ってここまでする必要はない。日頃から警察にマークされてる札付きだし保身を考えれば無視するか通報するはず。でも、犯行を計画したのはやはりジェニファーのあまりに苛烈で抑圧的な環境に同情したからだろう。しかし、この優しさが結果的にさらにジェニファーは苦しめことになる。
計画の手筈が整いいよいよ実行というタイミングでダニエルに彼女がいることを知ったジェニファーは計画の中止を懇願する。「俺はおまえのためにここまでやったのに今さら止められない」と狼狽えるダニエル。

結局、事は為されるも5日目に父親の意識が戻り嘘が暴かれジェニファーは逮捕される。
ジェニファーは「自分を殺してくれるように計画を変えたかった」と言うが警察はこれを情状狙いの姑息な嘘と断じていた。でも、おれは本音だと思う。ダニエルと生活する夢が叶わぬと知った時点で精神的に死んだも同然なのだから。親の支配から逃れるためには親が死ぬも自分が死ぬのも同じことだろう。
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