「支配」と「服従」をテーマに不条理でユーモアな3つのエピソードを描いたオムニバス映画。
章ごとに同じキャストが異なる役を演じているのが面白い。
『哀れなるものたち』編集中にできるだけシンプルにと撮影されたらしく、ざらついたフィルムの質感、声や単音のBGM、何だか安定しないカメラワークなど作家性を随所に感じた。
①「R.M.F.の死」
上司に人生の選択肢を奪われている男。
決断と勘案が弱り、支配に安寧を求めていく姿が惨め。。
②「R.M.F.は飛ぶ」
海難事故から生還した妻と、その妻が別人ではないかと疑念を抱く警官の夫。
愛ゆえの服従の結末、真実は如何に。
あと犬の世界が気になりすぎる。チョコレートってもしかして暗喩か…。
③「R.M.F.サンドイッチを食べる」
宗教組織に属し "特別な双子" を探す女。
カルトとオカルトとDVとで色々とどうしようもない。
最後はおバカ!と叫びたくなること請け合い。
各章のタイトルにある「R.M.F.」は転換となる場面で共通して登場する男の名前だが、3つの章を俯瞰するとかなり異質な存在。名前の意味とか色々な解釈がありそう。
正直退屈に感じた時間があったり、見終えた直後は依存に狂った人生の一片達をどう捉えていいのかモヤモヤも残ったりしたが、この奇天烈な体験を通して段々と支配する側の優しさも咀嚼できていくような…そんなスルメっぽさを感じる作品。