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憐れみの3章のnomoreのレビュー・感想・評価

憐れみの3章(2024年製作の映画)
4.2
いったい何を見せられているんだ...

ヨルゴス・ランティモス版『世にも奇妙な物語』オムニバス

監督の理解し難い独特すぎる諧謔性が静かに爆発している。

邦題:『憐れみの3章』
原題:"KINDS OF KINDNESS"

いろんな種類の"KINDNESS"を表現する意図が見え隠れする。
邦題では一括して"KINDNESS"を「憐み」としたのだろう。
「親切」ではなく「憐れみ」と。

英語に疎い私だが、"kindness"には、実に様々なニュアンスの日本語の意味がある。

kindness
親切
優しさ
いたわり
慈愛
厚意
厚情
人情
恩愛
芳志
厄介
などなど

「憐れみ」という意味はどこにもない。
どこにもないけれど、3章の物語に共通するキーワードとして"KINDNESS"に「憐れみ」という言葉をあてた日本語センスよ。

"KINDNESS"の"KINDS"ですから。
理解し難い物語群は、"KINDNESS"のモワッとした、いかようにも捉えられる言葉の解釈と概念によるところも大きいのではないか。

私が一番しっくりくるのが「厄介」という意味ですね。
"kindness"に「厄介」という意味があったことすら知らなかった私ですが。

そう考えれば、3つの物語はすべて「厄介」ごとですよね。

「厄介」ごとに巻き込まれて右往左往するジェシー・プレモンスやエマ・ストーンらの笑えない「憐れみ」の姿が印象に残る。

特にマット・デイモン劣化版(失礼!)のジェシー・プレモンスの苦味走った顔つきが忘れられない。

様々な種類の「厄介」ごとに巻き込まれた人々の3章からなるオムニバス映画

あー!スッキリしたー!

ラストのエマ・ストーンのダンスみたいな開放感!
とりあえず。

分からんこと多過ぎだけどね。
分からないことを楽しむ映画でもあるのです。
たとえ監督の変態性に顔をしかめても。


余談
本作最大の謎 "R.M.F"

リスクマネジメントフレームワーク
RMF:Risk Management Framework
組織や情報システムにおける情報セキュリティリスク(プライバシーリスクを含む)の管理方法

米国の最新のセキュリティ基準であるリスク管理枠組み(ネット調べ)

なんか妙に納得しちゃいましたね。
(まったく間違っているかもしれませんが...)

この3編は、「厄介」ごとに対処するリスク管理"R.M.F"の物語であったわけですね。

"R.M.Fの死"
"R.M.Fは飛ぶ"
"R.M.F サンドウィッチを食べる"

リスク管理は、うまくいったんだか、いかなかったんだか...。
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