Aix

憐れみの3章のAixのレビュー・感想・評価

憐れみの3章(2024年製作の映画)
3.7
カンヌ国際映画祭でジェシープレモンスが主演男優賞を受賞したヨルゴスランティモスの作品。R.M.Fからなる3つの話。

聖なる鹿殺し以前のランティモスが帰って来てくれました。女王陛下のお気に入り、哀れなるものたちで大衆に媚を売っていた彼ですが、今作ではブニュエルやキューブリック的な理不尽な世界観に立ち返っており、ブラックコメディが効いているのが良かったです。聖書を交えながら支配と執着に焦点が当てているのが、如何にもランティモスっぽくて面白かったと思います。3つのエピソードでどこか世界観が共通していたし、同じキャストが違うキャラクターを演じているのが興味深く、中でもジェシープレモンスは素晴らしいパフォーマンスを披露していました。

その一方で、3作品ともモノトーンであるため、鑑賞中は少しずつ退屈していったような気もします。個人的には1つ目のエピソードが一番面白くて、そこから右肩下がりになった印象を受けました。また、長尺なのも今作の足を引っ張っていたのが否めないです。例えばこの映画がドラマで、1つのエピソードごとに作品そのものが区切れるようになっていたら、もう少し評価が上がっていたかもしれません。ジョーカーフォリアドゥの後に続けて見たからか、個人的に今作に対して甘くなっている部分があるけど、もう少しそれぞれのエピソードを短くして欲しかったです。ホンチャウの使い方が割と雑だったのも残念でした。
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