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サユリのdeenityのレビュー・感想・評価

サユリ(2024年製作の映画)
4.0
こないだの『あのコはだあれ』に引き続き、名ホラー監督である白石晃士監督作品です。それぞれが違うベクトルのホラー映画ではありますが、今年のジャパニーズホラーは良作が揃ってますね。これ以降はネタバレになりますが、とりあえず楽しいホラー映画でした。



ということで、実際「楽しいホラー映画」って表現は間違ってないですよね。本作は映画中盤から全く別物の展開に発展していきます。
序盤こそ平凡なホラー映画といいますか、引っ越した先の家に棲みついた霊が新たな家族を襲い出す、という比較的オーソドックスな流れですし、何ならキャラクターの印象作りとはいえ、家族の不自然な演技というか会話がかなり気になってたくらいです。

ホラー演出的にもわりとベーシックな感じではありましたが、一つ驚いたのは犠牲になる家族のテンポ感ですね。
仲良く食卓を囲むシーンから徐々に空席が目立ちだすわけですが、主人公一家ですよね?って思えてしまうほど、次々に死んでいくのは驚きでしたね。

そして結果的に残されたのが主人公の則雄と認知症の祖母だけになるわけですが、面白いのはここからですよね。
おばあちゃんの覚醒。目が醒めたわ、とか言ってタバコ吹かしてファンキーなおばあちゃんが霊であるサユリに復讐を果たしていくというバトル映画になっていくわけです。

『マリグナント』とかが好きなら本作も好きかもしれないですね。純粋なホラーとかではないかもしれませんが、ホラーというジャンルの楽しみ方としてはいろいろなので、結構切り口としては面白かったですね。

そもそも霊に対する対抗手段がよく食ってよく寝てよく体を動かして、命を濃くするという単純なものなのがまたいいですよね。
たしかに霊につけ込まれやすい人とかは気持ちが弱いイメージありますし、妙に説得力がありました。

復讐を果たすうえでのサユリ側のバックボーンとかもしっかり描きながら、ホラーとしては変わり種かもしれませんが、楽しめるホラー映画としてはこういうのもありかなと思えました。
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